第21ケンタウリ槍機兵隊
(21ST CENTAURI LANCERS)


 給金の未払いに対して反逆を起した元・カペラの部隊から創設されたこの第21ケンタウリ槍機兵隊は、優秀・誠実・清廉という名声を築き上げており、それは彼等を傭兵産業の象徴にしている。しかしながら、3058年、ワード・オブ・ブレイクが“地球”を制圧する際、彼等によって部隊のアイデンティティが乗っ取られた時にその名声は損なわれる事となった。再建期間が終った後に、槍機兵隊はコムスターと長期契約を結んだ。そして、惑星“ツカイード”を数年に渡り拠点とした槍機兵隊は、コムスターのインベーダー・ギャラクシーやその他のSLDF部隊の為に仮想敵部隊として行動する事によってコムガードと新・星間連盟軍の改善に寄与した。槍機兵隊が自らのエリートとしての地位を取り戻すのには、それ程長い時間は掛からなかった。3080年までのコムスターとの契約延長を確保したこの傭兵達は、自分達の一族郎党を惑星“オレステス”の一時的な住居から惑星“ツカイード”に移した。
 そして、3068年1月21日、その全ては一変した。
 惑星のほぼ頂部のパイレーツ・ポイントから出現したワード・オブ・ブレイクの2隻の戦闘艦――“ブレイクズ・ソード”と“デリヴァランス”と識別されている――は、惑星“ツカイード”のコムスターの防御を蹂躙し、CWS“ブレイクズ・ヴェンジャンス”とCWS“ハンマーストライク”を破壊し、防衛側の航空宇宙部隊の全て――槍機兵隊自身の航空大隊も含む――を壊滅させた。自らの軌道優勢を確保したブレイク教徒の艦船群は惑星を封鎖し、脱出を試みる如何なる降下船も撃沈していった。
 最後通牒や警告もせず、ワード・オブ・ブレイクの艦船群は程無くしてコムガードの基地自体――フォフト軍事大学の近辺とその周囲の都市部、SLDFの基地と槍機兵隊の基地を含む――にその火力を解き放った。この爆撃はそれらの施設の全てを消滅させ、6時間以上に渡り火は消える事がなかった。しかしながら、幸運な事に、この傭兵達は周辺の地方へ散り散りになったが故にその装備の大部分を後に残しつつも、戦闘の初期にて既に避難をしていた。
 それから続いての数ヶ月間に渡り、軌道上のブレイク教徒の戦闘艦群は一見した所その目標について頓着せず、惑星“ツカイード”上を無差別に砲撃し、惑星に対して戦闘機群を出撃させていった。6月には、事実上、主要な都市で損害を受けていないものは皆無となっていた。これらの損害の中には、槍機兵隊の多くが含まれていた――彼等はディンジュー山脈に逃げ込むのを試みた際に開けた場所で捕捉されたのである。爆撃により、エヴェレナ・ハスケル大佐と500人以上の非戦闘員の一族郎党が殺害された。
 複数の小集団で移動をし、ブレイク教徒の気圏戦闘機群を引き寄せる事を恐れて軍の移動手段を避けた生き残りの槍機兵隊隊員達は、隠れ場所に身を潜めた。これらの小集団の内、約200人の戦士とその一族郎党達はデヴィルズ・バスという過酷な地形にて(傭兵部隊)キラー・ビーと出会った。ここで自分達が煮えたぎる泥沼と蒸気の噴出する穴が広がる厳しい地に留まり続けるのが不可能である事を熟知していたキラー・ビーは陽動を実施し、非戦闘員がスクーポ河に向かって脱出している間ブレイク教徒の1個航空中隊を忙殺させた。
 3070年――ブレイク教徒の惑星“ツカイード”襲来から2年が経過していた――が始まった時には、惑星“ツカイード”の住民の生き残りの90%は見逃される事を望んで小さな集落を作り大陸中に散らばっていた。ブレイク教徒の航空宇宙部隊は、相当の数で群れとなった車輌の全てと核融合エンジンを使用する如何なるものも目標にしたのである。散り散りになった一般市民達の集団の中で、槍機兵隊隊員達は山脈内に小規模で隠蔽されている村落群を作り上げるのを助けた。しかし、その多くは攻撃や自然の手により消滅する事となった。これらで生き残った村落群は貧弱な生活を何とかするべく、他の避難民達の居住区と物々交換をした。
 3070年7月のゴーストベアー氏族の到来は、ゴーストベアー氏族の降下船群が惑星の至る所に着陸を開始して全通信周波数域にその自らの人道主義的な意図を放送するまで気付かれない程であった。ゴーストベアー氏族は自分達に可能な限り多くの難民達を助ける事を試みて6ヶ月間を費やした。この彼等の超人的な活動はやがて、散り散りになっていた槍機兵隊達とコムガードの生き残り達との再集結を可能とさせた。槍機兵隊が――ゴーストベアー氏族の黙認の下に――その再編を続けている傍ら、ルモンズ大佐はコムガードとキラー・ビーを含む惑星“ツカイード”の全ての生き残り達に対して大打撃を受けてしまった自分の部隊への加入を持ち掛けている。

ドラグーン・レーティング:

第21ケンタウリ槍機兵隊
 最近の6機の槍機兵隊のメック――槍機兵隊が兵舎に使用していたコムガードの古い掩蔽壕への最初の爆撃から意外にも生き残っていた――の発見により、士気は高い。これらの機体達の回収作業は手間取っているが、打撃中隊の機材の一部のここ最近の発掘は槍機兵隊に希望を与えている。しかしながら、それらのメック群は、部隊の全てが惑星“ツカイード”から退去する準備が整うまではゴーストベアー氏族の管理下にあるものである。とは言え、この傭兵達が自らに可能な限りのサルベージ活動を継続しているが故に、それに更に1年が掛かる事はないものと思われる。

第21ケンタウリ防護槍機兵隊
 最近になり大尉に昇進したピーター・フラストは、警備任務用のライフル歩兵の2個小隊の長となっている。この小規模の警備部隊は、その主たる任務――槍機兵隊の一族郎党の保護――の遂行と、あり得るかも知れないゴーストベアー氏族の背信行為の全てから自分達の敷地の防衛をする事を遂行している。かの氏族が傭兵達に惑星“ツカイード”への滞在を当面の間は(幾つかの但し書きの下に)許可しているとはいえ、かの氏族のその悪名高い傭兵嫌いの傾向から、この元・小隊軍曹は決して油断はしていないのである。


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