バッド・ドリーム――“会計士ではなかった戦士達”
(BAD DREAM: WARRIORS NOT ACCOUNTANTS)


 バッド・ドリームは、第1次継承権戦争の最中にドラコ連合内に置き去りにされたカペラの戦士達の戦力減少1個大隊として始まった。続いての数世紀間で、彼等は2個装甲大隊と1個大隊の気圏戦闘機に支援されている完全な1個連隊へと成長し、主にドラコ連合と恒星連邦で仕事をしていた。そして2826年、バッド・ドリームはライラ共和国と利益の大きい契約を結んだ――これは軽量で高速のメック部隊をシュタイナー家が極度に必要としていた事から鑑みて大当たりのものであった。当初は、ライラ人達はこの傭兵達を自由世界同盟に対する襲撃部隊として使用し、それはバッド・ドリームに柔軟性を向上する為のそれ独自の輸送手段の保有へ多額の投資をする事を促した。しかし、その契約が間断なく更新や延長をされて1世紀が経過した後、この部隊は自身が攻撃的な任務を実施するよりも惑星“ニュータウン・スクエア”を防衛するのに時間を費やす事の方が段々と多くなっているのに気付いていた。第3次継承権戦争が終結する頃には、襲撃が次第に減少して維持費用が伸し掛かっていったが故に、バッド・ドリームは補給物資と収入が枯渇した際にはやがて貧窮に陥る事となった。そして、彼等は従業員への給与を維持するのとインフレーションの為に多大な借金をしたのであった。
 多額の負債を負ったバッド・ドリームは自らのその最後のライラとの契約を2年残した所で投げ出し、3039年戦争の最中に自由世界同盟領域に逃亡した。ここで、この部隊の強さを良く知っていた自由世界同盟はその傭兵達と喜んで契約を結び、自らの辺境との国境に駐留させた。その宙域沿いに於いては戦闘が発生する事は稀であったが、バッド・ドリームはそこでは収支を合わせる事ができた。そして、彼等は、自分達がライラ共和国に対して負った夥しい借金から逃げ延びられたと考えた。しかしながら、彼等のこの新たな成功は部隊の戦闘での切れ味を犠牲にしたものであり、ヘンリー・ボルトマンが3048年に指揮権を得た頃には近年の活動の欠如により部隊は鈍麻しており、その戦士達は適正な計画の実地戦闘訓練よりもシミュレーター訓練に頼っていた。
 このバッド・ドリームの戦士達の独特さの増大が続いている時に、彼等は自らの浅慮であった決断の報いを受ける事になった。バッド・ドリームは3062年4月に傭兵評価/契約委員会(MRBC)から、そのライラ共和国(現在はライラ同盟となっていた)に対する膨大な借金についてを委員会の前で説明するべく代表者と指揮官達を集めて惑星“アウトリーチ”に出頭する事を命じるメッセージを受け取ったのである。そして、その委員会はライラ同盟の肩を持ち、バッド・ドリームにはその離脱以降は数十年間にも及ぶ借金を清算する機会があった、と言い渡したのであった。幸運な事に、纏まった示談では、バッド・ドリームがその最も重要な装備を保持するのを許しはしていた。しかし、それは部隊の自慢であった宇宙空間で操作される全ての資産を失わせた。
 バッド・ドリームの塗装様式は赤と黄色であるが、ナイトクローラーズ装甲部隊はそれをパレードにしか用いはしない。この部隊の徽章は、円の中にある三日月と交差する稲妻である。

ドラグーン・レーティング: C−

主要士官
 ヘンリー・ボルトマン大佐――フォーカード・ドラックス(注:自由世界同盟で流行しているカードゲームの一種)の熱心かつ極めて下手なプレイヤーの両方で著名である――は、少なくとも名目の上ではバッド・ドリームを率いている。実際には、今日のバッド・ドリームに於ける最も有能なリーダーは、ユーセフ・ロッホシュミット中佐と連隊中に存在している様々な中隊指揮官達なのである。その結果として、バッド・ドリームの今日に見られる戦闘の大部分は、より政治的で、より内部で異なったものとなっている。

戦術
 バッド・ドリームのメック部隊は主として、戦場に於ける最も基本的で最も意外性のない戦術と戦略に頼っている。しかしながら、ナイトクローラーズはより定期的に実地訓練を実施しており、敵の隊列の中を移動して崩壊させる“蹂躙突破”戦術に熟達している。

支援
 内部の支援をほぼ欠いているバッド・ドリームは、その必要とする技術上と移動上の支援を雇用主に重度に依存している。バッド・ドリームの航空宇宙資産の大部分は3062年にライラ同盟へ売却させられているが、ナイトクローラーズのトライアンフ級のみは尚も部隊に所有権が残されている。

バッド・ドリーム
部隊規模: 1個メック連隊 熟練度: 古参 忠誠度: 信頼

指揮官: ヘンリー・ボルトマン大佐
副指揮官: ロナルド・ホフマン少佐

 ボルトマン大佐の独立指揮小隊は、高速重量級メックで構成されている。一方、彼の連隊の残りのメックは主に中量級で構成されており、数機の軽量級と幾らかの重量級がそれの全体に散在している。これらのメックの大部分は何らかの形態の先進技術(一般に、ダブルヒートシンク、ERレーザー、LB−Xオートキャノン)が使われているが、実際に新しい型であるメックは極少数である。

ナイトクローラーズ
部隊規模: 2個装甲大隊 熟練度: エリート 忠誠度: 疑問

指揮官: ユーセフ・ロッホシュミット中佐
副指揮官: ピエール・マケール少佐

 バッド・ドリームのメック戦士達とは対照的に、ロッホシュミット中佐は良く訓練がされ良好な装備がされている部隊を指揮しており、彼等のレベルの優秀性を維持する為に多大な努力を払っている。このナイトクローラーズは互いに対する忠義を高く誓っており、大抵の場合、部隊の残りからは距離を置いている。ボルトマンの無能さに対する疲労感を増しつつあるロッホシュミットは、ナイトクローラーズをバッド・ドリームから分離させようと思っているとの発言をしている。


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