バトルコー (THE BATTLE CORPS)


 3065年初期、バトルコーは、中心領域のほぼあらゆる所からの出身者が揃っている戦士達の雑多な集団(この中には追放された少数の氏族人さえも含まれていた)の中から誕生した。惑星“アウトリーチ”での僅か一週間後、彼等は恒星連邦カペラ境界域のランディ・ハセク=ビルズ公爵とその最初の契約を結び、カペラ国境沿いで成功裏に終った襲撃と奪取を幾つか遂行した。また、3066年、スミッソンズ・チャイニーズ・バンディッツとの一族間縁故(バトルコーの指揮官であるジョーイ・ニコルの親類と伝えられている人々はチャイニーズ・バンディッツ指揮官である彼女に無断で営業をした)は、彼等がライラの“タレント・スカウト”と接触する助けとなった。3067年秋の直前――スミッソンズ・チャイニーズ・バンディッツが“アウトリーチ”にて裏切り“聖戦”が始まるよりも前の時――に、バトルコーは(再びスミッソンズ・チャイニーズ・バンディッツとのコネを通じて)惑星“アルラ・アウストラリス”に本拠を置く自由世界同盟企業のアウストラリス・アレス社との契約を得た。後にMRBCのガラテアの支部にて記録された証言によると、バトルコーは連邦政府(自由世界同盟政府)に支援されたアウストラリス・アレス社が抱く傭兵の一般的な規範に抵触する野心に程無く気付いた、との事である。ニコル少佐は直ちに企業に対して抗議をし、そして、バトルコーに外国の部隊を装って現地の物資集積所の1つを破壊せよとの命令が下された後にはその契約を破棄したのであった。この行動はアウストラリス・アレス社とそれに関連する幾つかの組織――この中にはワード・オブ・ブレイクも含まれていると噂されている――の怒りを買った。
 傭兵と海賊の両方の標的にされたバトルコーは、3070年初期には重大な損害を被っていた。そしてこの時、アリス・ルーセ=マーリック女公の協力介入と傭兵連合軍(AMC)の代表者の接触こそが、彼等の完全消滅を防いだ。AMCはバトルコーが惑星“ガラテア”上にその激減した人員の穴を埋める為の新兵募集ネットワークを作るのを助力し、ルーセ=マーリック女公は自由世界同盟〜スカイア国境沿いの自分のレジスタンスを通してのAMC認可の対ワード・オブ・ブレイク活動に集中する部隊を求めたのである。
 ここで今や大佐の階級を持つ事となったニコルは、それぞれの戦士が持つ独自の文化や政見を抑圧したり調整したりせずにそのままにして置くというユニークな取り組み方で以って共通点を持たないこの理想主義者達の集団を結束力のある戦闘部隊へとした。この事は、ある者が言う所の“地獄の様な人事問題”をしばしば引き起しているが、同時に全くの予測不能性を持って機能する独特の戦闘スタイルを作り出してもいる。バトルコーはその構成員の中に17を越える数の国籍を見る事ができ、事実上、数百もの様々な主義を奉ずる代弁者が存在しているのである。
 現在、バトルコーは粗い組織形態であり、ブレイク教徒やブレイク教徒の同盟者達とほぼ2年間に渡って絶えず戦闘を続けている。彼等は“ガラテア”から安定して流入する新兵達とワード・オブ・ブレイクに対する復讐の誓いにより自らの戦力を維持しているが、その新人の戦士達に与える機材の慢性的な不足はその個々の回復の努力を妨げている。惑星“ガラテア”と惑星“オーガスティン”の彼等の基地の間の部隊に合流するまでの移動ルートがその多数の新人達を敵対的な領域にどうしても置いてしまうという事実はこの状況をより悪化させており、バトルコーはこの大戦争に踏み止まり続ける為に苦闘するのと同程度に自らの生存の為に戦う事で忙殺されている。

ドラグーン・レーティング:

バトルコー: 第1大隊、第2大隊
 ニコル大佐の第1大隊は重いメックで主に構成されており、その内の中隊の1つは中心領域と氏族の機体で混成されていてバトルコーの氏族人員を活用する為に三連星隊に編成されている。第2中隊は、重装甲車輌と高機動メックの混成である。
 ジョン“ジ・オールド・ワン”アルハワード少佐に指揮されているバトルコーの第2大隊は、現在は辛うじてそのステータスを維持している。新兵達の“バトルコーの文化”に関する訓練と教育に殆ど追いやられてしまっているアルハワードは、不適合な部隊員を結束力のある戦闘部隊へ鍛え上げる事に関して相当な経験を積んでいる――何となくであるが、彼はこれが自分の妻の前歴が児童心理学者であったせいだと冗談的にしばしば考えている。

航空中隊: アクメ・デリバリー中隊
 バトルコーはそのパイロット達の技量にも拘らず、数的に優勢な航空機材を保有していた事は全くない。実際、ある時などは稼動する気圏戦闘機よりも多くのパイロットが存在しており、それ故にパイロット達はしばしば操縦席に座るのに時分割方式を強要されていたのである。そして、この不都合さは、地上戦闘に於ける部隊の潜在的な上空援護を最大化する為だけに安価な通常型戦闘機を購入する、という考えをニコルに部分的に抱かせているのであった。


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