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カマチョ機士団 (CAMACHO'S CABALLEROS) |
トーマス・マーリックの治世下で生きるよりも放浪する事の方を選んだ“トリニティ・ワールド”出身の自由世界同盟離脱者達を中心に創設されたカマチョ機士団(もしくは第17偵察連隊という、より知名度が劣っている通称でも知られている部隊)は、企業との契約・惑星駐留任務・連邦=共和国の任務といったもので生計を立ててきた。戦闘部隊というよりもサーカスやジプシーのキャラバンの様に時折見えてしまうこのカマチョ機士団は、偵察と襲撃に関するその技量により傭兵世界に於いて羨む程の名声を得ていた。
氏族侵攻の最中、死に物狂いになったドラコ連合によって雇われたカマチョ機士団は、惑星“ジェロニモ”での激闘に投入された。このスモークジャガー氏族を抑え込む為の戦いは、短く、激しく、犠牲の大きなものであり――そして、最終的には無益なものであった。カルロス・カマチョ大佐は部下達の脱出を為し遂げるまでの間に、自分の娘と自部隊の1/3近くを失ったのである。この事は、カマチョ機士団へ氏族に関する全てのものを永遠に憎悪させる事となった。この手酷い打撃を受けた後、ハチマン・タロウ社の最高経営責任者であるチャンドラセカール“アンクル・チャンディ”クリタによって雇用されるまでは、カマチョ機士団は安い支払いの契約で辛うじて生計を立てていた。カマチョ機士団はチャンドラセカールの被雇用者として、ワード・オブ・ブレイクの破壊工作からのハチマン社本社の防衛から、ブラックドラゴン・ソサエティ(黒竜会)による惑星“タウン”の併呑の阻止、ブラックドラゴン・ソサエティによるセオドア・クリタ大統領の暗殺の試みの阻止までに渡る多数の任務を遂行した。カマチョ機士団はまた、“ブルドッグ作戦”によって解放された惑星群に存在するタナディ・コンピューターズ社の資産(ハチマン・タロウ社による最近の企業買収成果の1つ)も防衛し、更にこの部隊は惑星“ルツェルン”に短期間駐留している際にはドラコ連合とゴーストベアー氏族の間の国境戦闘にも参加した。惑星“ルツェルン”での戦闘はカマチョ機士団に再度の大損害を経験させたのであるが、それでも、この傭兵達はその憎むべき“マッド・ヘッズ”(彼等は氏族の事をその様な名で呼んでいた)に対してある程度の復讐を果せはしたのであった。
第2次星間連盟の解散後も、カマチョ機士団は“アンクル・チャンディ”の雇用下に留まり、彼のハチマン・タロウ社とタナディ社の保有物への警備を提供していた――彼等の故郷である“トリニティ・ワールド”から不穏な噂が彼等の下に届くまでは。その自由世界同盟政府に雇用された傭兵達によって犯された残虐行為についての噂話は、カルロス・カマチョ大佐に自らの契約の即時解除を要請する事を促した。ここで、寛大であったチャンドラセカール・クリタはその要請に承諾をし、傭兵達を数ヶ月も早く契約から解放した。しかし、このクリタの快い承諾も、キヨモリ・ミナモト元帥がカマチョ機士団へ無法者傭兵部隊との烙印を押すのを阻止するに十分なものではなかった。しかしながら、このドラコ連合の元帥の告発は遅すぎるものであった――カマチョ機士団は既にドラコ連合宙域を立ち去っており、故郷に向かっていたのである。
惑星“セリロス”、惑星“ガリステオ”、惑星“シエラ”では、新たな課税法が自由世界同盟州政府と一般の居住民達との間に大きな緊張の嵐を生み出していた。この緊張が所謂“バッド・ロックの大虐殺”となって爆発した時、全ての文明的な秩序は失われ、そして、(自由世界同盟契約下の傭兵部隊)スワン機士団と現地の州市民軍は、“トリニティ・ワールド”の牧場労働者と平原の住民達に対する実質的な内戦に等しい戦闘に突入した。カマチョ機士団が惑星“ガリステオ”に到着した時には、スワン機士団は“トリニティ・ワールド”の3つの惑星の全てで厄介な対ゲリラ戦闘という泥沼に嵌り込んでおり、その全ての惑星に対処する為にその大隊ごとに分かれていた。従って、このカマチョ機士団の到着は、惑星“ガリステオ”上のスワン機士団を2対1以上の比率で数で優越しており、地形を熟知しており、一般の居住民達と密接な繋がりを持っている敵手と対戦する羽目に追いやる事となったのであった。そして、スワン機士団の航空宇宙戦力の半分が地上にて破壊され、スワン機士団のチャーリー大隊も短時間で圧倒された。カマチョ大佐は自分の故郷である惑星“ガリステオ”の安全を確保したが故に、次にカマチョ機士団を惑星“セリロス”に率いていったが、スワン機士団が“トリニティ・ワールド”を完全に放棄しているのをそこで見出すのみに終った。
“トリニティ・ワールド”が急速に崩壊しつつある自由世界同盟から今や名目上は独立してしまった事により、カルロス・カマチョ大佐(ヴァド・アンチョ大牧場とガリステオ騎士団のパトロンでもあった)は惑星“ガリステオ”の新・臨時政府の大統領職を引き受ける事となった。その結果としてドン・カルロスが傭兵業から事実上引退したが故に、カマチョ機士団の指揮権は彼の息子のガヴィラン・カマチョの手に移った。
ここで、カマチョ機士団に資金が必要である事を強く意識しているガヴィランは、新たな契約の機会を探し求め始めた。ワード・オブ・ブレイクとの昔からの怨恨、コムスターへの不信、ミナモト元帥によって煽り立てられているドラコ連合内の反・傭兵感情により、カマチョ大佐は(この宙域で最近に国境紛争があったにも拘らず)ライラ同盟での雇用主を探し求めている。そして、カマチョ機士団がすぐにもジェイドファルコン国境へ移動をするであろう、との噂が存在しているのであった。
ドラグーン・レーティング: B-
カマチョ機士団
3062年のドラコ連合=ゴーストベアー戦争の最中に2個大隊に減少したカマチョ機士団は、現在になりようやく連隊規模戦力に回復している。更に、ガヴィラン・カマチョ大佐はスワン機士団から奪った回収品を使用して新たに創設した第5大隊の指揮権をドモニック・サントスに与えている。この事はカマチョ機士団にマクドゥーガルの第1大隊とビゲイの第4大隊と合わせて戦力減少状態の3個バトルメック大隊をもたらしており、それらは気圏戦闘機の2個中隊とモーガン大尉の偵察中隊によって支援されている。