ケイオス・イレギュラーズ
(CHAOS IRREGULARS)


 ケイオス・イレギュラーは3066年10月、最初に“ケイオス・マーチ”の惑星“アカマル”に出現した。その時――伝説の伝える所によれば――、壊滅したソレンセン・ストライカーズとペレグリン軽機隊の生き残り達はオルソン特戦隊から惑星を守るべく部隊を合同した。そして、1つとなったこの臨編部隊は、ハセク公爵によって急派されたカニンガム・コマンドが来援して惑星を奪還するまでの間、カペラ人達が支援するオルソン特戦隊に対してその位置を固める事を為し遂げたのである。
 ケイオス・イレギュラーズは、エアリアル・ペレグリン=シムソン大佐とオバダイア“ジェイク”チョーラ大佐が同格の指揮権を持っている事で異例な存在である。ペレグリン=シムソン――ウルフ竜機兵団のアウトリーチ傭兵訓練局を卒業した惑星“アウトリーチ”出身者――は、鋭敏な戦略家かつ不屈の指揮官である。それとは対照的に、チョーラは正式な訓練を殆どもしくは全く受けずに戦場での経験を通じて部隊で頭角を現してきた、出自が不明確で天分に恵まれたメック戦士であり、その多層的かつダーティーな戦術で知られているカリスマ的な指揮官である。ケイオス・イレギュラーズの記録は、これらの共同指揮官達の他にはない技能を融合させるのに成功した事を雄弁に物語っている。
 惑星“アウトリーチ”にてMRBCに対して自らの共同指揮組織の実力を明らかにした後、ケイオス・イレギュラーズはアンチ・スピンワード方面へ動き辺境との境に向かう前に、ローニンInc社や惑星“アルルブ”のモシロ大学といった様々な雇用主との警備に特化した一連の短期契約をこなした。彼等はそれ以降、ここ最近に複数の戦闘がそこであったにも拘らず、このライラ同盟と自由世界同盟の辺境の間を自由に動き回り、ライラ同盟のメリッシア州から自由世界同盟のバラバラな辺境共和区の小世界にて短期契約をこなしていった。
 しかしながら、ペレグリン軽機隊には、スミッソン・チャイニーズ・バンディッツとブロードソード軍団――惑星“アウトリーチ”の放棄に於ける大きな要因となった2つの部隊――の両部隊と密接な結び付きがあった。また、ペレグリン軽機隊が他の雇用主との契約を果している間もワード・オブ・ブレイクの雇用下にあった事を示す幾つかの証拠――ガブリエル・ペレグリン大佐がその死の直前に改修型ヒューロンウォリアーの購入をした事を含む――が存在した。この事と彼等の初期の経歴を取り巻く普通ではない状況の為に、ケイオス・イレギュラーズはワード・オブ・ブレイクとの契約下にあるのではないかと常に疑われる事となった。伝えられる所によれば、ペレグリン=シムソン大佐は自分の父親とブレイク教徒の間に如何なる関係も見出せなかった――そして、それに対して激しく異議を唱えてもいる。しかし、そうであったとしても、彼女の部隊に対して掛けられた疑いは3069年中期――この時にケイオス・イレギュラーズはブレイク教徒の軍勢と戦って自分達への疑いを完全に晴らした(そして、この戦闘は部隊をその元々の戦力の1/3にまで減少させた)――になるまで完全に払拭される事はなかった。
 また、(彼等が)複数の海賊行為をしたとの主張や、彼等には少なくとも知られている海賊との関係があったとの主張はより根強いものであり、これによりケイオス・イレギュラーズは第11アークトゥルス防衛軍の犯罪監視リストに特に目立って記載される事となった。しかしながら、ケイオス・イレギュラーズが防衛した惑星群――惑星“メインストリート”、惑星“ニューセントアンドリュース”、惑星“カンポールワン”を含む――の政府達はかような海賊行為があったとの主張には激しく異議を唱えている。更に重要な事に、第8ライラ正規隊は、ケイオス・イレギュラーズの部隊を2度に渡り雇用しているのであった。
 ケイオス・イレギュラーズは辺境に於ける最高の技術支援の幾らかを持っており、それらは彼等を常に完全戦力もしくはそれに近い状態にしている。彼等は1隻のシーカー級降下船しか所有してはいないが、この傭兵達にとって輸送が問題となる事は稀である――ティンブクトゥ州を基盤としている民間の貨物運送業者が(自分達への)防護を提供する事と交換で彼等に輸送手段を提供しているが故に。
 ケイオス・イレギュラーズはここ数年間で拡大しつつあり、1個中隊近いバトルメック、歩兵部隊、装甲部隊をその編成表に加えている。しかしながら、その実際の姿は、それらの最近に獲得した戦力の出自と同様に曖昧なままである。もっとも、それらの新たな兵員達が実際には辺境のワード・オブ・ブレイクの軍によって壊滅させられた(もしくはワード・オブ・ブレイクと一緒に壊滅した)他の部隊の生き残りであるとの証拠が存在している。そして、明らかな保安上の理由により、ケイオス・イレギュラーズはそれらの噂に対して肯定も否定もしておらず、その無口さは彼等に“疑問”のレーティングを与えているのであった。問い詰められた際には、ペレグリン=シムソン大佐とチョーラ大佐は、自分達の誠実さに疑いを持つ如何なる者に対しても“他の誰かを雇用する”事を単に勧めるものである。

ドラグーン・レーティング:

ケイオス・イレギュラーズ
 ケイオス・イレギュラーズは現在、自らを“重大隊”――故意に不正確な名称で――と呼称している。また、彼等の独立小隊や臨編特務小隊と半個中隊の使用は、彼等の実際の総数を数えるのを時折困難にしている。しかしながら、この傭兵達が2個半小隊のバトルメック――それらの機齢は年代物のクロケットから工場から出てきたばかりのスペクター、それらの重量は95tのハウプトマンから25tのマングースと多岐に渡っている――を保有しているのは一般的に認められているものである。ケイオス・イレギュラーズはまた、約2個中隊の歩兵部隊と1個小隊の通常装甲部隊も保有している。歩兵部隊の小隊群と分隊群はしばしば、分遣されての警備任務にも就いている。
 戦闘に於いては、ケイオス・イレギュラーズは多角的な方向から敵と交戦する事を好んでいる――ある敵対者はこの戦術を“ヒドラと戦闘する様なものである”と述べている。チョーラのタナトスやペレグリン=シムソンのトレードマークであるヒューロンウォリアーは大抵の場合に於いて、全ての攻撃の戦闘に立って先導しているのが見られる。


BACK