マッキノン奇襲部隊――“フォックス・ティース”
(McKinnon's Raiders: The Fox's Teeth)


所属: 恒星連邦、第7南十字星部隊
部隊指揮官: イアン・マッキノン大尉
部隊規模: 1個メック中隊
部隊練度: 古参

歴史:
 2784年、10月、星間連盟正規軍の大尉であったキラン・マッキノンは、(星間連盟加盟国の)恒星連邦のジョン・ダヴィオン公に忠誠を誓うとの秘密文書に署名した。当時、マッキノンと彼の中隊は、その地にある星間連盟の補給廠を防衛する為に惑星“カサイ”に駐留していた。ケレンスキー将軍が惑星“ニューサマルカンド”での秘密会合の為に全正規軍を召集した時、マッキノンと彼の部下達はそれを拒否し、自分達がダヴィオン家を支持する事を公に宣言した。2786年、12月、マッキノン中隊は圧倒的な敵に対して凄まじい戦闘を行い、“カサイ”の補給廠を奪取するのを試みたクリタのバトルメック部隊を打ち負かす事に成功した。そして、この第1次カサイ戦は、クリタ=ダヴィオン国境沿いの全面的な戦争勃発をしるしたのであった。
 その勝利への返礼として、マッキノンと彼の部下達は惑星“ニューアヴァロン”の近傍の農業惑星である“ケストレル”の領地を下賜された。第1次継承戦争の初期の10年間、中隊は、辺境沿いの静かで、退屈で、完全に安全である、様々な前哨基地に配置される事となった。その後、2796年、マッキノンと彼の部下達は惑星“ケンタレス”への移動を命令された。現地に到着して間もなく、彼等は新設のバトルメック連隊である第7南十字星部隊に編入された。ミノル・クリタの軍勢が“ケンタレス2を蹂躙した時、第7南十字星部隊は散り散りにさせられ、マッキノン大尉は自分の中隊の生き残り達を丘陵地帯に導いた。クリタのバトルメック連隊群が“ケンタレス”の都市を占領している間中、マッキノンのメック部隊はゲリラとして戦った。そして、マッキノン中隊の伝統は守られた――その兵の1人が、ミノル・クリタ、最初の継承国家武王、を暗殺したのである。
 “ケンタレス”が解放された後は、マッキノン中隊は恒星連邦中の戦場を戦った。そして、2808年、キラン・マッキノンは第2次バーロウズ・フォーリィ戦にて戦死した。ポール・ダヴィオン国王は即座にキランの長男を新・中隊長として任命し、マッキノン一族に更なる“ケストレル”の領地を与えた。
 第2次継承権戦争の最中、マッキノン中隊は主にカペラ戦線で戦い、カペラ大連邦国の領域深くへの数度の攻勢の先鋒を務めた。第2次継承権戦争での最も有名な作戦の1つに於いて、中隊はカペラ大連邦国の首星である惑星“シーアン”自体への奇襲を実行した。これは深刻な打撃を与えられはせず損害も大きいものであったが、この“マッキノンの奇襲”はカペラ大連邦国の既に低下しつつあった士気に対して決定的な一撃を与えたのであった。結果、リャオ家は“奇襲”から丁度3ヵ月後に和平を請い、そして、マッキノン中隊に新たな名称――マッキノン奇襲部隊、をもたらしたのである。
 第2次継承権戦争後、マッキノン奇襲部隊は辺境に配置された。そして、続いての100年間に渡って、中隊のバトルメックは恒星連邦を悩ます蛮王達に対する無数の襲撃、懲罰遠征、小競り合いに参加したのであった。最終的には、部隊は辺境から戻りダヴィオン近衛隊の一部として惑星“ニューアヴァロン”に駐留する事をを命じられた。
 3013年、ハンス・ダヴィオンの諜報エージェント達は、“ニューアヴァロン”自体で暗殺計画が企まれている事を彼に警告した。彼等のレポートは、クリタのスパイがジョナサン・ブライトという名の“ニューアヴァロン”の領地所有者を唆すのを為し遂げた事を指し示していた。近衛隊の中隊指揮官であったブライトは、新たに戴冠した国王の殺害は恒星連邦を混沌へと陥らせ、自身の為に“ニューアヴァロン”を奪取する事をを可能とさせるであろう、と納得させられたのである。彼は、自らのバトルメック部隊を“ロイヤル・コート”から丁度50km離れている自身の郊外の領地に召集していた。
 近衛隊の半数が作戦行動で離れており、残りの大隊群の忠誠が不確かであった事により、ハンス・ダヴィオンはロス・マッキノンと彼の中隊を使用した。彼はマッキノン中隊に、10光年離れている惑星“イムブロス”での近衛隊の作戦行動に加われ、との偽の命令を発した。しかしながら、軌道上に一度上がるや否やマッキノンは自身の降下船に“隠れる”事を命じ、そして、自身の小隊指揮官達にその真の任務の概要を伝えたのであった。
 次の朝、マッキノン奇襲部隊はブライトの郊外の領地に精密な強襲降下を行い、奇襲によって反逆者とそのメック戦士達をほぼ完全に捕捉した。奇襲部隊はその短く、激しい、容赦の無い戦闘に於いて、ブライトのバトルメック群を殲滅し、ブライト自身を殺害し、クリタのエージェントを捕縛した。そして、この奇襲はマッキノン奇襲部隊に、勲章、新たな領地、「フォックス・ティース」という尊称をもたらしたのである。
 3015年、奇襲部隊は新たに再編された第7南十字星部隊に再配属され、ドラコ境界域沿いに駐留した。続いての5年間に渡って、中隊はただ1つの敗北も無しにクリタ軍との12を越える激しい戦闘/小競り合いを戦った。
 しかしながら、3020年、マッキノン奇襲部隊を大いなる災厄が襲う事となった。その時、ドラコ連合内に配置されているダヴィオンのエージェント達は、惑星“ハロウズ・サン”の駐留バトルメック部隊が激しい定員割れをしている、との噂を流した。また、その一方で、如何なるクリタの攻撃部隊も粉砕する事を望み、第7南十字星部隊と第9ケチ戦闘部隊が秘密裏に“ハロウズ・サン”の守備隊を増強していた。しかし、不幸な事に、ダヴィオンの現地指揮官達は、この惑星に対するクリタの興味を甚だしく過小評価していたのである。一流の4個バトルメック連隊が“ハロウズ・サン”を襲い、待ち伏せをしているつもりであった者達をほぼ圧倒したのであった。
 ダヴィオンのメック群は絶える事無く続く攻撃の下、惑星の険しい山脈への後退を強いられた――彼等は、そこにて援軍到着まで持久する事を望んだ。ロス・マッキノンの奇襲部隊は、この後退の援護を命じられた。そして、中隊は2日間以上休息なしに戦闘をし、その6倍の数の敵メックを防いだのである。しかし、連隊の主隊が比較的安全な高山峡谷に到着した正にその時、奇襲部隊が保持していた尾根の背後に侵入したクリタの2個中隊によって彼等は退路を絶たれ包囲された。
 全滅の危機に晒されたロス・マッキノンは、自身の息子に対して中隊の大部分を率いて包囲部隊を突破する事を命じた。そして、このイアンの猛烈な攻撃は成功したが、ロス・マッキノンと彼のボディーガードであるカート・リットンは浅い小川を渡河している間に敵のメックに捕捉された。彼等は、ミサイル・レーザー、PPCの集中砲火によって倒された――しかし、それでも、彼等は死ぬ前に3機の敵メックを破壊する事に成功したのであった。
 イアンは自分の父が死んだ瞬間に奇襲部隊の指揮を継承し、奇襲部隊を第7南十字星部隊の主防衛地点から離れたクリタ部隊の中に突入させた。それから以後の4週間に渡り、彼と彼の奇襲部隊はゲリラ部隊として活動し、敵の司令部、補給物資集積所、孤立しているメックの配置場所を襲い続けた。そして、イアンの襲撃は包囲軍の体勢を崩し続け、山脈に隠れた連隊に対する如何なる全面的な攻撃をも阻止するものとなったのである。最終的に、かなりの規模のダヴィオンの援軍の到着が目前のものとなった事はクリタ軍に撤退を強い、これにより第5次ハロウズ・サン戦は終結した。
 ハンス・ダヴィオンは奇襲部隊の“ハロウズ・サン”での武勇により、彼等に1年間の休養と特別の予備部品を与えた。イアンはこの1年間を、自分の奇襲部隊を一連の全く新たな高機動戦術を叩き込む事に使用した。彼は先の戦役での戦訓を良く学んでおり、良好に訓練された機動力のある攻撃部隊の方が正規メック中隊よりも第7南十字星部隊の役に立つと論じたのである。彼の上司はその論を認め、マッキノンのメック部隊に深侵攻グループとしての役割を指定した。
 3021年、奇襲部隊はドラコ境界域に復帰した。その当時、第7南十字星部隊は全線戦用の総予備部隊として作戦しており、ドラコ連合の全ての攻勢に対応して惑星から惑星へと急行していた。そして、マッキノンの戦術は実戦環境下でも良好に機能し、クリタのメック群に多大な損害を与える事を可能としたのであった。
 3022年中期のハンス・ダヴィオンのライラ共和国との同盟は、主導権の奪還を彼に可能とさせた。それ以降、彼のメック連隊群は攻勢状態にあり、クリタ領域に対して様々な襲撃・偵察、本格的な侵攻を開始している。そして、マッキノン奇襲部隊――“フォックス・ティース”は、そのほぼ全ての戦闘の真っ只中に存在し続けているのである。
 


フォックス・ティース部隊編成

マッキノン指揮小隊
  イアン・マッキノン大尉(操縦4、砲術3)、マローダー
  ジョージ・リットン(操縦4、砲術3)、ウォーハンマー
  ポール・ダントン(操縦5、砲術3)、フェニックスホーク
  オースティン・フォルスター(操縦6、砲術4)、スティンガー

ライダー中小隊
  カール・ライダー中尉(操縦5、砲術3)、クルセイダー
  イスコル・チペンデ(操縦5、砲術4)、フェニックスホーク
  エルンスト・ラング(操縦4、砲術3)、ライフルマン
  ヘンリック・デッカー(操縦5、砲術4)、ワスプ

ノムラ偵察小隊
  ケイト・ノムラ中尉(操縦4、砲術4)、グリフィン
  マーク・マッキノン(操縦5、砲術4)、シャドウホーク
  マテオ・アルヴァレス(操縦4、砲術4)、ワスプ
  ロバート・グレイ(操縦5、砲術3)、スティンガー


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