ゴードン装甲機兵団
(GORDON'S ARMORED CAVALRY)


 カペラ大連邦国に対して数十年間も恨みを抱き続けており、タウラス連合国の長年に渡る被雇用者であるゴードン装甲機兵団(GAC)は、“三国同盟”の成立以来、TDF最高司令部に対して多数の異議を申し立ててカペラ大連邦国宙域へ再配置される可能性がある如何なる提案も防いでいた。カルデロン保護領国の成立がタウラスの護民官に憂慮すべき新たな脅威を与えた事により、それらの緊張は幾許か緩和されており、その結果として、GACは新国家のカルデロン保護領の弱点を探る任務に就かされた。しかしながら、それでも不満を抱いているゴードン一族によって支配されているこの傭兵部隊は、3068年前後は自分達の契約の更新をするつもりはないとの不平を幾度となく鳴らしたのであった――3069年にタウラス連合国の同盟者であるワード・オブ・ブレイクの“特別連絡員”のチームが送られてきてこの1個増強傭兵連隊への助力をするまでは。(ゴードン装甲機兵団の傘下の)様々な下位部隊群の間へ配布されたそのゴードン大佐に対するメッセージは明確なものであった――「行儀良くしろ。さもなくば重大な結果を招くであろう」と。
 そして、タウラス連合国とカルデロン保護領との戦闘が勃発すると共に、ゴードン装甲機兵団は自らが補給物資と弾薬に関するタウラス連合国の優先リストの底辺に記載されている事に程無く気付く事となった。カルデロン保護領の襲撃者達に対して勇敢に防衛を実施したにも拘らず、タウラスの補給士官達は彼等の補給や攻勢作戦の要請を常に無視し、ブラックアンガス・ボーイズの様なその他の傭兵部隊も不十分な戦果しか挙げられなかった後には、より信頼できる部隊に対してそれらを振り向ける事の方を選んだ。それどころか、ゴードン装甲機兵団が受け取った唯一の支援はそのブレイク教徒の監視員からもたらされたものであった。ブレイク教徒の連絡員達は、恒星連邦領の惑星“ロタール”上にある一連の広大かつ軽防備の補給物資集積所群――連邦=共和国内戦により疲弊している傭兵部隊ヴァンガード・レギオンしかそこの防御に付いていないと噂されていた――についての情報を静かに漏らしたのである。ここでタウラス連合国による懲罰を懸念はしたものの、ニコラス・ゴードン大佐は自らの補給状態が一際悪いものであると感じており、部隊の先任士官達と協議をした後、彼はゴードン装甲機兵団が3070年中期に恒星連邦への襲撃に乗り出す事を決定した。
 当初は抵抗を受けずに着陸したGACはヴァンガード・レギオンの部隊を捕捉する為に散開したが、彼等はバトルメックが増強されている現地の市民軍がその唯一の抵抗勢力であるのに気付く事となった(ヴァンガード・レギオンはカペラの反攻に対するべく惑星“ニューシルティス”へ最近に配置換えされていたのであった) しかしながら、その市民軍は非常に機略に富んでいる事を証明した。自らを広大な森林の中に置いた彼等は森林の大部分を燃え上がらせ、黒い煙の分厚い雲を作り出し、ゴードン装甲機兵団の航空支援部隊が防衛側のバトルメック群を観測するのを阻止し、その結果、ゴードン装甲機兵団を遅滞させたのであった。
 3071年9月、ゴードン装甲機兵団は恒星連邦宙域に対する更に別の無認可襲撃に着手した――この時は、無防備の“ブリュセット”星系に対してであった。(前回と)同様にそのブレイク教徒の連絡員達から再び情報を引き出したこの傭兵部隊は、人口の希薄な大陸の1つに降下をし、恒星連邦の偵察部隊が調査の為にそこに到来するまで、数週間に渡り静かにそこに留まった。そして、伝えられる所によれば、それから1ヶ月を経ずして、激怒したグローヴァー・シュラプレン(注:この当時のタウラス連合国首長)はゴードン装甲機兵団に対して即時の契約破棄をするという脅しと共にその征服活動の中止を命令したとの事である。ここでゴードンはその命令に従ったものの、それでも、命令に従わないここ最近の彼等の行動は雇用主とその傭兵部隊の間の関係を極めて不安定なものにする事となった。
 (その頃、惑星“ロタール”では)部隊の一部を補給物資集積所の略奪に専念させると共に、ゴードン大佐は数的に圧倒されてしまっている市民軍が籠もっている燃え盛る森林へのバトルメックの突撃を率いていった。しかしながら、濃密な煙とその地形へ習熟している事は市民軍の方に有利に働き、そして、至近距離での戦闘は熾烈なものとなった。両陣営で1個中隊ずつが失われた後、両軍勢は交戦を打ち切った。ここで依然として3:1で数的な劣勢下にあった市民軍は煙を隠れ蓑のに後退し、地方に姿を隠し、惑星“ロタール”をゴードン大佐と彼の装甲機兵団の手の中に残した。しかし、このタウラスの傭兵部隊にとっての単純な物資強奪襲撃は惑星攻略の成功へと変わってしまったのであるが、そのニュースが護民官へ到達するや否や、TDFには自らの戦闘中の国境を防衛しながらその惑星に駐留させられる正規軍部隊は払底している、との言と共に、ゴードン大佐はその星系を放棄せよとの命令を受ける事となった。そして、その征服の成果を失う事になったゴードン装甲機兵団は激怒しつつも、苦労して手に入れたその補給物資を積み込んで惑星“アンバーグローヴ”へと帰還したのであった。

ドラグーン・レーティング:

ゴードン装甲機兵団
 恒星連邦の偵察レポートによれば、ゴードン装甲機兵団は惑星“ブリュセット”にて再統合戦争時代にまで遡られる秘密の星間連盟貯蔵所を発見してそれを略奪し、自分達の機体を可能な限り改修・改良したとの事である。このレポートは、そのTDF補給部との劣悪な関係にも拘らず、ゴードン大佐が新しい装備や改装された装備を大量に配備できた理由を説明するものである。現在は2正面戦争中であり、それ故に古参兵が極度に必要とされている事のみが、この部隊を即座に無法者認定するのをタウラス連合国に躊躇させている。その後は、ゴードン装甲機兵団は惑星“アンバーグローヴ”に留まり続けている。また、この時点では、如何なるその更なる勝手な行動も防ぐべく、彼等の航宙艦は取り上げられている。


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