グレイヴ・ウォーカーズ
(GRAVE WALKERS)


 星間連盟登場よりも前、恐らくメック登場よりも前である、と幾人かが言及する程のその中心領域に於ける長いサービスの歴史にも拘らず、3064年に惑星“コーケンズ・プレジャーランド”と惑星“バベスキー”でジェイドファルコン氏族によって全滅しかけた後――特に惑星“アークロイヤル”への彼等の到着とその直後に彼等が分裂をした後――、オブザーバーの多くはグレイヴ・ウォーカーズを評価の対象外へとした。その残留している隊員達でさえも、この歴史ある傭兵部隊のこれを最後とする解散は時間の問題である、と考えた――この20年間でのジェイドファルコンの手による2度ものほぼ完全壊滅と、近年にそれを帳消しにする様な成功がなかった事により、グレイヴ・ウォーカーズの名声は地に墜ちていたのである。
 3068年の開始時、グレイヴ・ウォーカーズの新指揮官であったテヴト中佐はブラックストーン・バトルメックス社とジェイドファルコンが占領している“ズデーテン”星系を襲撃する契約を(伝えられる所によれば、飲酒をしている最中に)結んだ。だが、それから数時間を経ずして、部隊の他の者達はテヴトに対して反旗を翻して彼を指揮官の座から引き摺り下ろし、彼の次に高位の士官であったロバート・プレイザー中尉を指揮官に就けた。ここで今や大尉となったプレイザーはその契約を即座に破棄し、グレイヴ・ウォーカーズの解散とケル・ハウンドへ加入するという提案を持ってケル・ハウンドに近付いた。これに対し、(ケル・ハウンドの)アラード司令官は、数あるものの中からケル・ハウンドの名誉ある列に加わる事を待っている他の傭兵部隊達のリスト(順番待ち名簿)を引き合いに出しつつそれを断った。しかし、残念賞として、彼はグレイヴ・ウォーカーズに対して惑星“アークロイヤル”の防衛を主として補う為の気前の良い臣従契約を提案したのであった。
 3069年の夏、惑星“グレースランド”でのジェイドファルコン氏族に対する戦闘にてダニエル・アラードが戦死した時に、証明済みの志願者達に関するケル・ハウンドの順番待ち名簿は急速に短いものになっていった。惑星“アウトリーチ”での傭兵同士での戦争は惑星“アークロイヤル”のメック戦士を洪水の様に流入させた――壊滅した部隊や敗北した王家連隊の生き残りの多くが傭兵や反・ブレイク教徒に対して依然として友好的で最も安全だと思われる星系を求めた為である。そして、多くの者達がケル・ハウンドやその宙域に存在しているその他のA級の評価をされている部隊への入隊を願った。しかしながら、その時にはスクリーニングや経歴調査が必須のものとなり、その過程は数ヶ月間を要するものになっていた。たとえ、ここでブレイク教徒の“ホワイトアウト”による妨害がなかったとしても、ケル・ハウンドには時間が足りなかったであろう――(その後に)ジェイドファルコン氏族が国境を越えて再び押し寄せてきたが故に。従って、今やケル・ハウンドの全指揮を執る事となったアキラ・ブラーヘ中佐は独自の提案を持ってプレイザー大尉に歩み寄ったのであった――ここ数年間に渡り防御戦術を訓練してきていたグレイヴ・ウォーカーズがそれらの熱意に溢れている新規の流入者達の多くを受け入れてその者達の技量を審査する、というものを。その提案に於いては、そのクラス内のトップの者達をケル・ハウンドが雇用し、一方、グレイヴ・ウォーカーズがそれ以外の者達はキープできる、とされていた。完全な保守整備、輸送、戦場での損害補償もそれには付属していたが故に、プレイザー大尉はこのチャンスに飛び付いた。そして、かような次第で、グレイヴ・ウォーカーズはケル・ハウンドの最新のファーム部隊となったのであった。1個小隊のメック戦士達(彼等は最終的にはアークロイヤル市民軍での地位を勝ち取った)から始まったそれらのテスト部隊のローテーションは増大していき、このプログラムの絶頂時にはグレイヴ・ウォーカーズは2個諸兵科連合大隊を誇るに至っていた。
 しかし、その恒久的な隊員の数が2倍近くに(ローテーションをしている兵を数えた場合は4倍に)なったにも拘らず、グレイヴ・ウォーカーズはその消滅の危機から2年を経た後でも依然として非常に低いままである士気に悩まされている。その元々の隊員達は、自分達が“ケル・ハウンドの訓練部隊の1つに他ならない存在”になってしまった事に気付いて現在は苛立たしく思っている。そして、更に悪い事に、その恒久的な新・隊員の多くは“アマリス危機”以降で最も身の毛のよだつ事態を経験してきた部隊からの出身者達――PTSDの徴候を明らかに示した事からケル大公爵に雇用されなかった戦士達、その技量が余りにも価値があるものであった為に追い出す事ができなかった危険かもしれない者達、なのである。それでも、グレイヴ・ウォーカーズのそのプログラムは非常な成功である事を証明しており、シュタイナー侯爵はケル・ハウンドとプレイザーと交渉を持ち、そのサービスの範囲をケル・ハウンドのリクルートだけでなくアークロイヤル管区のLAAFの兵員の補充要員となるものにまで拡大する事を働き掛けている。

ドラグーン・レーティング:

グレイヴ・ウォーカーズ
 グレイヴ・ウォーカーズは防御戦術の訓練を継続しており、その途切れる事なく流入する車輌乗員と歩兵小隊員を用いて複数の小規模諸兵科連合任務部隊も作り上げている。そして、この事は部隊が素早く静的な防御(地雷原、隠蔽砲座、等々)を展開する事を可能にさせている。これらの兵士達が再配置をされる事から、プレイザー(現在は少佐になっている)は自分の影響力を駆使してそれらの者達を中隊以上の単位で纏まった状態に維持する事を開始している――そうすれば彼等はその新たなポストでも結束力をそのまま保てられるからである。


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