グリーン・マシーン
(GREEN MACHINE)


 “グリーン”は、このかつては頼もしい傭兵部隊であったものにとっての適切なあだ名である。この傭兵部隊は辺鄙な惑星での駐留契約以外は経験しておらず、ちょっとした不運も重なり、ここ20年間余りのその活動振りにより部隊能力に対しても疑問が抱かれているのである。傭兵業界のおどけ者の幾人かは、グリーン・マシーンの事をウィルソン軽機隊――極最近になるまで不運な部隊の代表として挙げられる存在であった――の次席に位置するものとして冗談で言及していた。グリーン・マシーンのその凋落の原因は、その経歴に於いて幸運が不足していた事よりも活動が不足していた事にあるものである。
 3050年以前、かなりの非戦闘状態を20年間経験したグリーン・マシーンの技量レベルは、熟練の古参達が引退をするか、単により気前の良い部隊に去るか、実際の戦闘経験を求めて去るかをした事により、着実に低下していった。そして、この実戦能力の欠如は、氏族の侵攻が開始された際に、AFFCがグリーン・マシーンへ再び実績を挙げられる機会を与えもしなかったという結果をもたらした。AFFSはこの部隊を戦闘に召集する事はせず別の駐留任務を割り当てる事を決定し、連邦共和国の軍は傭兵達を惑星“カオルーン”の幾つかのマイナーな工業プラントの警護から外してセントアイヴズ協定国境近くの惑星“パーヴォ”での“カオルーン”のものと同様の閑静な防衛任務へと回したのである。
 3066年、惑星“パーヴォ”での対抗演習はグリーン・マシーンの劣悪な状態をくっきりと浮かび上がらせた――この時、惑星市民軍はグリーン・マシーンを3日間のシミュレーションにて壊滅させたのである。この惨憺たる光景は、グリーン・マシーンとの契約を延長するというオプションをパーヴォ政府が拒否するという事態に至らせた。才能ある新兵を繋ぎ止める能力が部隊に欠けている事とグリーン・マシーンの貧弱な財政状況が合わさり、グリーン・マシーンは3067年には新たな契約を求めて惑星“ウェスターハンド”近辺に移動する事となった。しかし、この社会不適応者達の寄せ集めである集団の運勢がすぐにも良くなる、と予測する観測者はそこでも殆どいなかったのであった。
 しかしながら皮肉な事に、グリーン・マシーンのその歴史に於ける最悪の衰退期こそが、彼等を最近の出来事から利する事ができる最高の位置に置いたのであった。“聖戦”とカペラ=恒星連邦国境沿いの戦闘の開始により、3071年、CCAFがグリーン・マシーンに対して――それと彼等以外の“ウェスターハンド”の“新人部隊”に対しても――防衛任務契約を持ち掛けたのである。マクスウェル・グリーン大佐は自分の部隊が遂には戦場でその価値を証明できる機会を得られるであろうと希望を持っているが(そして、それはグリーン・マシーンの弱体化している戦闘力を試して鍛える為の一連の演習実施を彼に計画させているが)、それに対し、観察者の大部分は“聖戦”の戦火がこの部隊に達したのならばその一回で以て彼等は壊滅するであろうと既に言明しているのであった。

ドラグーン・レーティング:

グリーン・マシーン
 “パーヴォ”の惑星政府がその契約更新を拒否した後は、グリーン・マシーンは契約を得る事と減りつつある自らの戦力数の梃入れを望んで数年間に渡り惑星“ウェスターハンド”周辺を転々としていた。それと同時にマクスウェル・グリーン大佐は自分の部隊の専門技術を向上する為に多数の訓練演習を開発する事も試みていたが、それは僅かな成功しか収められなかった。それどころか、グリーン・マシーンはそれらの演習中に最も深刻な損害を被っているのである――ブラヴォー中隊のジョエル・ウィラード大尉は訓練中の事故で両腕を失い、退役を強いられたのであった。それらと同様の複数の事件(それとその貧弱な給与と長年の不活動)により、グリーン・マシーンはその他のより小規模の部隊から少数の新人しか引き抜けていない。
 故ジョージ・ハセク公爵の“ソヴリン・ジャスティス作戦”に対する反攻成功の直後、カペラ大連邦国はグリーン大佐と彼の部下達に対してカペラ大連邦国宙域内での防衛契約を持ち掛けており、伝えられる所によればその交渉に於いて彼に“あなたが受けられるだけのあらゆる訓練”を保証したとの事である。そして、年老いつつある大佐は、この申し出に飛び付いたのであった。以来、グリーン・マシーンは惑星“アレス”に再配置されており、そこにてグリーンは自分の部隊が互いに纏まり戦闘にて自らの価値の証明を可能とする事への希望を抱いている。


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