グリーンマウンテン・ボーイズ
(GREEN MOUNTAIN BOYS)


 グリーンマウンテン・ボーイズは、辺境での奴隷身分という頸木から脱した者達――3039年に幸運・機会・決意が合わさって(ウッドロー)イーサン・アレンの一団がマリア帝国から脱出をした――の中から誕生した。近年の連邦=共和国内戦により故国を離れた者達を加えたこの傭兵部隊は、ここ30年間――その期間の全てに於いてカノープス統一政体かタウラス連合国か“三国同盟”に雇用されて過ごした――で急速に拡大している。グリーンマウンテン・ボーイズのマリア帝国に対する憎悪は良く知られているものであるが、MAFの彼等の雇用主達は、それがワコー特戦隊やリトル・リチャード装甲旅団等々の彼等より規模が大きくより有名である部隊を消滅させる事となった盲目的な憎悪ではなく、それが緩やかで考え抜かれた上での憎悪であると認識している。
 グリーンマウンテン・ボーイズのその創設以来の総指揮官であるイーサン・アレン少佐は、“情報は武器である”という使い古されている(しかし、それでも真実ではある)信条を信奉し続けており、主に辺境のアンチ・スピンワード宙域内の出来事へ精通し続けるべくコンタクトのネットワークを作り上げている。アレンは(自らが言っている様に、その契約報酬が非常に良好なものでない限りは)自分の部隊が孤立状態で戦う事はしない様に非常に用心しており、そして、伝えられる所によれば、遥か遠くで起きた大変動でさえも自分のグリーンマウンテン・ボーイズに影響を及ぼす可能性があるというその信念に基づいて、アレンのそのコネはドラコ連合にまで及んでいるとの事である。3070年後期、アレン少佐のマリア帝国内外のコネはマリア人達の攻撃が目前に迫ったものであるとの推断を下し、それにより彼はエマ・セントレラ総統の補佐官であるハジ・ドル将軍にマリア帝国への先制攻撃に対するその支持を求める多数の訴えを行った。
 伝えられる所によれば、通信の混乱とカノープス統一政体の中心世界群を苦しめる内部恐慌が進行中であったにも拘らず、アレンは数ヶ月後には返信――カノープス統一政体情報省(MIM)は彼の所見に同意であるが、MIMとMAFは適切な対応をするまでにより多くのデータを必要としている、というのを伝えるものを受け取ったとの事である。それから2週間後、マリア帝国の脅威に対処する為にMAFは部隊の配置換えする予定であるという事をアレンは伝えられ、そして、グリーンマウンテン・ボーイズは“アーリー・ドーン”――マリア帝国から1回のジャンプという近くに位置している星系――に移動してそこにて待機せよとの命令を受け取った。
 惑星“アーリー・ドーン”到着から3ヶ月後、不安を抱くアレン少佐はカノープス統一政体の戦略の次の段階について長く待った挙げ句にようやく問い合わせをしたが、自らの情報要求の要請が入り組んだ官僚主義の中で滞り、かの国家全域に渡る通信不全により失われたのを見出すのみに終わった。アレンは程無くして知る事となった――実際には、マリア帝国発の危険に対処する為の軍部隊をMAFが極少数しか移動させていなかったのを。そして、アレン少佐がMAF最高司令部との会議の予定を立てるのを試みた時、それの代りにアマンダ・スルネッキ中佐という形で連絡員が送り込まれてきた。グリーンマウンテン・ボーイズの高級将校達とのその些か素っ気ない会議に於いて、スルネッキは彼等に対し、カノープス統一政体はその意見具申について感謝するが、貴方達が考えていた問題について独自の決断を下している、と伝えた。それから、彼女は惑星“アーリー・ドーン”の防衛のみに専念せよとの命令を下した。また、彼女はアレン少佐に対し、今後はカノープス統一政体軍総司令部に直接通信を入れるのを控えるよう促し、次からはその代りに問題を抱えたのならばその連絡は彼女自身のオフィスを通してするよう通知した。グリーンマウンテン・ボーイズはこれらの命令を不承不承ではあるがプロフェッショナルの態度で以て受け入れており、この時以来、彼等はそのフラストレーションをここ数年間に渡り惑星“アーリー・ドーン”襲撃を試みている少数の無法者達に対して晴らしているのであった。

ドラグーン・レーティング: B−

グリーンマウンテン・ボーイズ
 グリーンマウンテン・ボーイズはその4個小隊編成の中隊群を維持しつつ、この数年間で1個指揮中隊を追加するのを為し遂げている。彼等が最近に経験した戦闘は時折来る無法者達とのものに限られているが、徹底的な訓練により彼等の古参の熟練度と機動戦術に対する熟練の技量は維持されている。グリーンマウンテン・ボーイズの何れの者も揺らぐ事なく、軽量級と中量級のメックについて非常に重きを置いている。
 グリーンマウンテン・ボーイズの歩兵大隊であるオールドメン・オブ・ザ・マウンテンは襲撃者のメックを捕獲して部隊の拡大を支援するのに寄与しているが、部隊内の失機者のメック戦士の数が減少し始めた為に、より従来型の歩兵戦術への移行を始めている。この大隊内の完全な1個中隊が現在、防御行動にその身を専念させている。
 引き合いがあったにも拘わらず、グリーンマウンテン・ボーイズはカノープス統一政体政府から如何なる装甲戦力や航空宇宙戦力、技術的なアップグレードも購入していない。しかしながら、その機体の半数が既にアップグレード済みであるが故に、グリーンマウンテン・ボーイズは依然として辺境に於ける最も先進的な部隊の1つであり続けているのであった。


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