グリーンバーグ・ゴジラ
(GREENBURG'S GODZILLAS)


 グリーンバーグ・ゴジラは、元々はTBC社の1人の人気戦場特派員と壊滅した傭兵部隊の1人の生き残りが新生傭兵部隊の生活を描くホロビデオ・シリーズの制作を決意した時に誕生したものであり、実際の戦闘に対する才覚よりもカメラに対する才覚で以てそのホロビデオ時代を生き延び、堅実な部隊――些か平凡ではあったが――として名声を築き上げた。3060年代の初期以降はドラコ連合内にて立ち往生を続けたグリーンバーグ・ゴジラは中心領域に於けるそのメディア産業とのコネを通して何とか生計を立て、クリタの数社の演劇プロダクションと仕事をしさえもした。しかし不幸な事に、“聖戦”の開始から程無くしてドラコ連合の一般市民達の雰囲気は――キヨモリ・ミナモト軍管区長官の“傭兵死すべし”との反動的な檄により煽られて――敵対的なものへと変わり始めており、アイヴォ・グリーンバーグ大佐はクリタ宙域から手段を選ばずに何としても脱出する時が来たのを悟ったのであった。惑星“アウトリーチ”がワード・オブ・ブレイクの核の炎により焼かれ、惑星“ガラテア”が侵攻するマーリックの部隊とブレイク教徒の部隊の圧力で不安定な地勢になっているが故に、ここでグリーンバーグは惑星“アークロイヤル”を目的地へと定め、そこにてドラコ宙域からの移動手段の獲得を目論んでの惑星“エグアス”での3ヶ月間の駐留契約を纏めた。
 しかし、ライラの諜報機関が予想していた襲撃は為されず(惑星“エグアス”はそれまでにジェイドファルコン軍によって3度もの襲撃を経験していた)、3069年にはジェイドファルコン戦線にて全面的な侵攻が開始される事となった。ジェイドファルコンは当初はその戦線の“地球”方面側に集中していたが、3071年、カッパ銀河隊が惑星“モルゲス”と惑星“エグアス”を攻撃する事で以て第2戦線が開かれた。
 惑星“モルゲス”に於いては、手酷い戦力減少状態にあった第20アークトゥルス防衛軍が第75打撃星団隊とPGC群を防ぐ為にベストを尽くした。一方、グリーンバーグ・ゴジラは惑星“エグアス”にて第4ファルコン打撃星団隊と対戦した。この時、3064年の惑星“ブラックジャック”で敗北を喫した後に自分達の名誉挽回を熱望していた第4ファルコン打撃星団隊は、自分達が一般市民へ与える損害を完全に顧みはしない事を示しつつ猛烈な攻撃を加えた――彼等は首都マラガの中心部を吹き飛ばして降下地域を作り出したのである。より一般的な降下をするであろうと予想していたグリーンバーグ・ゴジラは、突然に自分達が不適切な位置にいるのを経験する羽目になった。首都の中心部で戦闘をする事で更なる殺戮を加える事を望まなかったこの傭兵達は、フォート・アンテケラに退却をした。続いての3週間に渡り主導権はジェイドファルコンの側にあり、彼等はグリーンバーグ・ゴジラの陣地外辺部に探りは入れたが、予期された強襲を実際に行う事はしなかった。そして、グリーンバーグ大佐は、惑星“モルゲス”を制圧しばかりの第75打撃星団隊が到着した際に、それの理由を悟る事となったのであった。2個星団隊の圧力の下、フォート・アンテケラの防御は遂に崩壊し始めた。ここで2個星団隊を相手にしては自分がそう長くは持ち堪えられない事を熟知していたアイヴォ・グリーンバーグは、その自らの万一の場合の緊急プランを発動した。
 自らの第4ファルコン打撃星団隊を防御陣地に対して率いていったスターカーネル:ジャグジット・ブハーリンは、不可思議にも予想より遙かに少ないダメージしか与えてこないミサイルとレーザーの大渦巻きで以て歓迎をされた。このブハーリンの星団隊は激しい防御砲火に晒されつつも傭兵達の防御陣地を突破し、自分達が見つけ出せた全てのグリーンバーグ・ゴジラのメックへの射撃を開始した。フォート・アンテケラの別の側では、スターカーネル:ターク・ニュークレイはより怪しげな成功を収めていた。彼の兵達はブハーリンのものと同様の容易さで以て防御陣地を突破したが、彼は自分の三連星隊の内の1つとの連絡を完全に失っていたのであった。そして、彼が行方不明となった自分の兵達がどうなったかを知るべく手を尽くしている最中、ブハーリンの激昂した叫び声が指揮チャンネルに響き渡った。――フォート・アンテケラの防御は、ホロビデオの演出道具と特殊効果に過ぎないものであったのである。
 グリーンバーグ・ゴジラは、逃げ去っていた。
 フォート・アンテケラに効果装置を仕掛けた後、グリーンバーグは自分の兵達を一点に集中し、氏族のただ1個の三連星隊を容易に短時間で突破して蹂躙するのを可能としていたのであった。気圏戦闘機の援護の下、グリーンバーグはフォート・アンテケラの西の森林の向こうに隠れていたLAAFの降下船群に辿り着く事ができた。惑星“エステロス”へ撤退したグリーンバーグ・ゴジラは自分達のメック群の修理に着手し、ジェイドファルコンの追撃に対する準備を開始した。しかしながら、かような攻撃が発生する前にモーガン・ケル公爵は代りに惑星“ザンデライ”に移動してトゥース・オブ・イミルを救援する事をグリーンバーグ・ゴジラに命じた。
 グリーンバーグ・ゴジラはドラコ連合で立ち往生している間に、高名なクリタの映画制作者タクラ・ミガキとの小さな生計を立てる為の仕事を得ていた。また、そのミガキの非常な賞賛を得た“13人目のメック戦士”の最終戦闘シークエンスを制作する際に、グリーンバーグ・ゴジラの技術者達はメックの外観を他の機種に似せるモックアップの手法を完成させていた。ここでジェイドファルコンのマラガ攻撃への報復として、自分には彼等に対して驚愕を返す義務があると決意していたグリーンバーグは、自分のメック群をスチールヴァイパーのオムニメックに見える様に偽装させた。そして、この策略は良好に機能をした。驚愕し混乱したジェイドファルコン達――トゥース・オブ・イミルの頑強な抵抗により弱体化していた――は、新手の変節者のスチールヴァイパーの一線級部隊であると自分達が信じ込んでしまったものと戦闘をするよりも星系から撤退する方を選んだのであった。
 トゥース・オブ・イミルと合流したグリーンバーグ・ゴジラは、この文書が書かれている現時点では惑星“ザンデライ”の防衛の為に身構えたままであり、ジェイドファルコンの最終的な再訪を待ち構えている。

ドラグーン・レーティング:

グリーンバーグ・ゴジラ連隊
 ドラコ連合からの脱出費用により借金状態に陥っているグリーンバーグ・ゴジラは、急速な再建に必要な資金が不足している。戦場での損失と予備部品の欠乏が組み合わさり部隊は事実上2個大隊にまで減少しており、グリーンバーグは第3大隊をヴァーホーヴェンの第2大隊に編入している。

グリーンバーグ・ギドラ航空大隊
 惑星“エグアス”からの撤退を掩護した事はローダンの戦闘機大隊に高い代償を支払わせており、その戦闘機大隊をほぼ半分の戦力に減少させている。


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