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アイリシアン槍機兵隊 (ILLICIAN LANCERS) |
中心領域で最も成功している傭兵部隊についての如何なる議論にも、現存する最大規模かつ生き残っている最古の傭兵グループの1つであるアイリシアン槍機兵隊が含まれているに違いないものであろう。星間連盟の成立――そして、その結果としての王家軍の削減――に続いて組織されたオリジナルの“アイリシアン槍機兵隊”は、星間連盟の各加盟国出身の士官と兵達であった。彼等はその全員が1つの事を共有していた――その全てが、その結び付きが古代の“地球”まで遡る事ができる排他的な戦友会であった“アイリシアン・オーダー”のメンバーであったのである。
当時の他の兵達の多くとは異なり、これら最初のアイリシアン槍機兵隊の大多数はその軍務期間に於いて罷免させられたのではなかった――彼等はそれよりむしろ、自発的に離れる事を選んだのである。“アイリシアン・オーダー”の全てのメンバーシップについては2572年7月に合意に達し、それから6ヶ月以内に1個増強バトルメック師団に等しいものが編成された。この時から、アイリシアン槍機兵隊は傭兵部隊と雇われボディーガードの広大な海の間で屹立したのである。
続く2世紀の間、アイリシアン槍機兵隊は中心領域を通じて巧みに仕事をこなした。戦場に於ける彼等の技量と勇敢さについての言葉は素早く広まり、アイリシアン槍機兵隊は自分達が星間連盟自体をも含んだ如何なる者にもその奉仕に対して高価な報奨を要求できる事に気付いていた。そして、彼等の名声とその有利な契約は人類領域の全域から兵達を惹き付け、叶える事が全く不可能であろう程の多数の入団希望で以って“地球”のシシリー島のアイリシアにある“アイリシアン・オーダー”のホールを埋め尽くしたのであった。
アマリスに対する戦争が到来した時、アイリシアン槍機兵隊は主に支援部隊の役割でケレンスキー将軍の軍団に仕えた。アイリシアン槍機兵隊の9個連隊の内の2個連隊――第1、第7アイリシアン特戦隊――は、“地球”への強襲に参加して壊滅した。そして、残りの部隊はその敬意を払うべく最終的には“地球”に旅をし、(故地の)アイリシアが完全に破壊されている事を見出して打ちひしがれた。
彼等はそれから程無く、自分達が継承権戦争のグラインダーの中に巻き込まれているのを見出す事となった。最初の2度の継承権戦争はアイリシアン槍機兵隊を元の戦力の半分に減少させ、また、第3次継承権戦争の初期には部隊は破産しかけている様に見え、アイリシアン槍機兵隊は自分達の間で約3世紀間も用いられてきたその航宙艦艦隊の大部分を売却する事を強いられたのである。しかし、この資金の流入は、大損害を引き起したカペラ大連邦国との契約から部隊が生き残る事と第3次継承権戦争の残りの期間をダヴィオン家に仕えて務め上げる事を可能としたのであった。
当初、彼等はドラコとの国境で任に就き、そこにて幾つかの最初の成功を収めた。しかしながら、世紀が変わる頃にはその生き残りの4個連隊は幾つかの敗北を被り、AFFS最高司令部にカペラ境界域への彼等の配置換えを引き起させた――そして、そこにて部隊は“ニューシルティス”の政治的活動とカペラ大連邦国に対する激しい戦闘の両方に対処せざるを得ない羽目となった。
しかし、それにも拘らず、アイリシアン槍機兵隊は恒星連邦に仕え続け、マイケル・ハセク=ダヴィオンの死後に彼等はAFFS内に味方――その中でも最も著名なのはモーガン・ハセク=ダヴィオンであり、後年には彼の息子もそうであった――を見つけていた。この事はアイリシアン槍機兵隊に自分達自身の再建を開始する機会を与え、その上、極小数の傭兵部隊しか受けられない氏族の技術を含むテクノロジーの入手方法経路を与えもしたのであった。
アイリシアン槍機兵隊はMRBCの外部で恒星連邦と独占的に契約をしており、それ故にドラグーン・レーティングを持ってはいない。
指揮
“アイリシアン・オーダー”は、一世紀前に定められた伝統を継続している。その指導者――全組織の指揮官を務めてもいる――は、長老達のコア・グループによって選ばれ、“将軍”の称号を与えられる。この“将軍”は6年間の任期を務め、そして、その彼/彼女は、“アイリシアン・オーダー”を率いる能力を有している限りは何度でも再選が可能である。同様に、“大佐”達も長老達によって選ばれ、その内の幾人かは連隊指揮官を務め、それ以外の者達は支援や福祉の職務を引き受けるのである。
現在の“将軍”はブレンダ・ブラッドリーであり、彼女は過去21年間アイリシアン槍機兵隊を指揮している。彼女は“アイリシアン・オーダー”の歴史に於いて最も長く任を務めた大佐達の内の1人――第59打撃連隊を38年間指揮した――の娘であるのみならず、その血統を自身の父親の元になった人物――アイリシアン槍機兵隊の創設メンバーの1人であり自らも“アイリシアン・オーダー”の14世代目のメンバーであったウィリアム・ブラッドリー大佐、にまで遡る事ができる。
部隊
一度は、最小限の支援部隊を持った単なる4個メック連隊にまで減少していたアイリシアン槍機兵隊は、現在は全部で4個メック連隊を中心とし、その各連隊に1個装甲連隊、1個機械化連隊、1個航空大隊を含む、完全な1個旅団を形成している。装備はその親部隊であるメック連隊の特性と専門性に基づいて各下位部隊に割り当てられており、この事はアイリシアン槍機兵隊に多種多様な能力を与えている。
支援
アイリシアン槍機兵隊は、技術上の支援、運営上の支援、兵站上の支援に関しては不自由していない――その人員達は、あらゆる状況下で部隊の機能を維持して余りある程に有能なのである。アイリシアン槍機兵隊が抱えている重大な不足の1つは、輸送面に存在している。29世紀以降、部隊は、1隻のスターロード級と1隻のインベーダー級、それに加えての雇用できるあらゆる航宙艦に、部隊の輸送を依存しているのである。しかし、部隊は尚も、その戦闘部隊と支援部隊用に十分な規模の降下船群を保持している。
塗装と徽章
アイリシアン槍機兵隊は緑とカーキ色、そして非戦闘時には赤褐色という、典型的な塗装様式を用いている。アイリシアン槍機兵隊の徽章は、様式化された弾丸状の紋の上に置かれた黄色の稲妻である。
第59打撃連隊――“ブラッドリー・バッドボーイズ”
この第59打撃連隊は、大部分の傭兵部隊にとっての一般的な命名慣行を無視している――この部隊は、その最初の指揮官であるウィリアム・ブラッドリー大佐の名を恒久的に冠しているのである。当然の事ながら、その創設以来、9人の別人のブラッドリーがこの連隊を指揮しており、その内の3人はアイリシアンの“将軍”も務めている。そして、現在の指揮官であるブレンダ・ブラッドリー将軍も、それに他ならない人物なのである。
この連隊は、その名を2575年の惑星“ヴァレンティーナ”上で得た。(その時)連隊は、SLDFの成立後に失職した無法兵士達の集団を掃討をしていた。しかし、不幸な事に、無法者達は惑星“ヴァレンティーナ”に配置されていた軍部隊の内部に協力者を有していたのである。そして、槍機兵隊が最終的に彼等を追い詰めた時、彼等は強力な反乱部隊だけでなくSLDF兵の1個師団にも直面する事となったのであった。
槍機兵隊は初期段階から圧倒されていたが、彼等の技量は戦況の悪化を食い止めた。しかしながら、ブラッドリー大佐による危険な一手で初めて、槍機兵隊は形勢を逆転する事を可能としたのである。一箇所に砲火を集中して敵戦線に穴を穿って突破し、第59打撃連隊はSLDFの後方地域の奥深くへ高速で侵入した。彼等はSLDF師団司令官を捕虜にし、反乱部隊の重要な物資集積所を幾つか破壊し、また同時に1個旅団全てを捕虜にして彼等の基地を拠点としてその機材を使用し、SLDF師団の大部分を撤退に追い込んだ。そして、槍機兵隊は反乱部隊の残余を壊滅させ、無法者の師団の包囲を手助けしたのである。この行動により、第59打撃連隊は最高のSLDF部隊褒賞である“星間連盟首長感状”を得た。
それ以来5世紀間、第59打撃連隊は傑出した働きをするというその伝統を継続している。部隊は損害を受けながらも、損なわれないままで継承権戦争を生き延びた。後の“3039年戦争”に於いてと、同様に20年後のカペラ=セントアイヴズ戦争の際には、部隊はカペラ大連邦国に対する戦闘に参加し、それにより連邦=共和国内戦の開始時にはこの連隊は定員割れとなっていた。しかしながら、第59打撃連隊はその後の戦争の大部分に加わらない事を可能とし、惑星“ハドナル”の平和を維持する事にその時間を捧げたのである。
第59打撃連隊の塗装は、その装備を強調する特徴的な黄色である。その徽章は、上を向いている矢の上で交差する2つの稲妻で、それら全てがオレンジの円の上に置かれているというものである。
ドラグーン・レーティング: 未評価
主要士官
アイリシアンの“将軍”は戦場に於いて大抵の場合は第59打撃連隊を指揮しているが、第59打撃連隊はそれ独自の指揮官を持っており、その指揮官は全組織の副指揮官/作戦士官として務めてもいる。第59打撃連隊の現在の大佐は、アイリシアン槍機兵隊で最も高名なメック戦士であったイアン・グリムの息子のニール・グリムである。3022年に誕生したグリム大佐はその人生の全てをアイリシアン槍機兵隊内で過ごしている。彼はイアンが3039年の戦闘で戦死した後に彼のセンチュリオンを継承し、“アイリシアン・オーダー”の独自の士官学校の中でメックの操縦を教え込まれ、第21アイリシアン特戦隊にて任務を開始した。自身の父親が持っていたコクピット内での純粋な才能を欠いていた彼は、素早く自身が傑出した戦術家かつ戦略家である事を証明した。彼は素早く階級を昇進して行き、AFFC連邦司令/参謀学校と連邦軍事大学の両方に派遣されている。彼は3054年に大佐に任命されており、次のアイリシアンの“将軍”の本命であると見なされている。
戦術
古のSLDF打撃連隊と同様に、第59打撃連隊は、敵の隊列の突破や粉砕、もしくは側面攻撃をする為にその機動力を使用する事を試みる。
第59打撃連隊 |
第38装甲打撃隊 |
第4アイリシアン特戦隊――“アリシア・ラバーズ”
第4アイリシアン特戦隊は生き残ったアイリシアン槍機兵隊のバトルメック連隊の中で最も重装備で、約3世紀前に“地球”での強襲に於いて第1アイリシアン特戦隊が壊滅した時にその地位を引き継いでいる。この連隊は26世紀の最中、そのメック戦士達の近接戦闘と容赦のない格闘攻撃の技能で有名になった際にそのあだ名を得ている。このあだ名は槍機兵隊の娯楽室とクラブ内でのジョークとして始まったものであるが、ガンカメラの一場面が、敵のマローダーと戦闘する第4アイリシアン特戦隊のアトラス――アトラスがその敵手を掴む前にそれら2機のメックが格闘攻撃を応酬して地面に転倒する様子を明るみにし、それがそれを見た者にとってお笑い種で全くの冗談に他ならなかった時に、急速に広まった。そして、それ以来、このあだ名(ラバーズ)は定着しているのであった。
この連隊のあだ名の由来にも拘らず、第4アイリシアン特戦隊は冗談からは程遠い存在である。そのメック戦士達は、星間連盟崩壊以後のアイリシアン槍機兵隊が参加した主要作戦の全てで主力となっている。その機体の重量と頑丈さは、この連隊が3世紀間の過酷な戦争から生き残る事を可能とした――第4アイリシアン特戦隊のメック戦士達は自分達に向かってくる敵に対してほぼ如何なる強打も加える事ができる。しかしながら、自分達に押し寄せる10000t近くのメックと直面する事となる潜在的な敵は大抵の場合、撤退をするのである。
第4アイリシアン特戦隊は恒星連邦のカペラ境界域にほぼ60年間配置されており、“ジリアン突出部”を防衛してきている。この連隊はその月日に於いて国境の両側にて多数の戦闘に参加しており、そのメック戦士達にその鋭利さを保持し続ける事を可能とさせている。この連隊の今世紀で最も重要な行動は、3039年戦争(この時、第4アイリシアン特戦隊はマッカロン装甲機兵団が惑星“カシール”を襲撃した事への報復として惑星“ヴィクトリア”を強襲した)と連邦=共和国内戦の時のものである。第4アイリシアン槍機兵隊は第2ダヴィオン近衛隊、ダヴィオン軽近衛隊、第1恒星連邦装甲機兵団、第9・第21アイリシアン特戦隊の両連隊と並んで戦闘をしている間、惑星“サーダー”にて些か重大な損害を被ったが、この過去4年間で大部分が再建されている。今日、第4アイリシアン特戦隊は、カペラ境界域のサーダーPDZの惑星“アシュリー”上の基地に駐屯している。
第4アイリシアン特戦隊の塗装は、その装備を強調する特徴的な暗赤色(ブラッド・レッド)である。その徽章は、1本のランスの上で交差している1本の剣と1本の矢であり、それらはアイリシアン槍機兵隊の徽章と同じ様式化された弾丸状の紋の上に置かれ、その上部には“4th”と記されているものである。
ドラグーン・レーティング: 未評価
主要士官
“アイリシアン・オーダー”の高級士官の大部分と異なり、アリシア・ラマレイ大佐は“部外者”として“アイリシアン・オーダー”に加入した人物であり、AFFSで2度の勤務期間を務めている。しかしながら、彼女はサハラ士官学校に通っており、そこにて彼女は“アイリシアン・オーダー”のメンバーの多数の子弟達と触れ合っていた。そして、惑星“サーダー”にてアイリシアン槍機兵隊隊員の集団――その内の1人は彼女と共に学校へ通っていた――と出会う機会の後に初めて、彼女はアイリシアン槍機兵隊に加入する機会――彼女が逃す事のできない機会――を与えられたのであった。そして、AFFSにて大尉となっていたのであるが、彼女は中尉として加入し、ゆっくりと徐々に昇進していったのである。3047年、彼女は大佐に昇進させられ、第4アイリシアン特戦隊の指揮を与えられた。しかしながら、彼女は自分の年を感じており、数ヶ月以内の退役を待望している。
戦術
第4アイリシアン特戦隊は鈍重な重装備の連隊として有名であるが、その第2大隊は全てが高速の重量級と強襲型で編成されている。そして、この事は、この連隊に弱体な区域を発見してそこへ激しくかつ高速の打撃を見舞う能力を与えている。
第4アイリシアン特戦隊 |
第21装甲機兵連隊 |
第9アイリシアン特戦隊――“ロードランナーズ”
第9アイリシアン特戦隊は主に軽量級から中量級のメック連隊としてその存在を開始したのであるが、継承権戦争の進行により、第9アイリシアン特戦隊は他の壊滅した連隊から重装備を取り入れていった。そして、第3次継承権戦争の初期には、第9アイリシアン特戦隊は部隊のかつての姿と殆ど似てはおらず、この時点でアイリシアンの首脳部は槍機兵隊の全組織を再編成したのであった――その航宙艦艦隊を売却し、連隊とは名ばかりになっていた2個連隊を解隊し、そのバトルメック群を生き残りの4個連隊へ統合したのである。
第9アイリシアン特戦隊はアイリシアン槍機兵隊がドラコ境界域内にて地歩を定めた後に戦力が回復したのであるが、多数のメックを購入して“アイリシアン・オーダー”に多数の新メンバーを受け入れて初めてそうなったのである。この新生第9アイリシアン特戦隊は即座に惑星“リマ”を攻撃し、ドラコ連合に対する恒星連邦の再開された大攻勢の先鋒を務めた。その場にて槍機兵隊が勝利を収めた後も、彼等は攻撃を継続し、数年間に渡って敵戦線の後方を襲撃し続けた。第9アイリシアン特戦隊は続いての20年間に、惑星“アン・ティン”への3回の攻撃、惑星“マツイダ”への2回の攻撃にも参加し、ドラコ連合が最終的に逆襲に転じジョセフ・ダヴィオン二世に重傷を負わして退位を強要した際に恒星連邦が被った損害を和らげた。
しかし、この連隊の幸運は、永遠に続くものではなかった。第9アイリシアン特戦隊は3000年に惑星“マルドゥック”にて手酷い攻撃を受け、また3002年には惑星“ハロウズ・サンにて第4プロセルピナ軽機隊がこの連隊の戦闘計画の予測に成功し、ダヴィオン重近衛隊に彼等が援軍を送る事をさせなかったのである。惑星からのクリタ人達の望外の撤退のみが、AFFS部隊から戦役全体での敗北を避けさせたのであった。
第9アイリシアン特戦隊は、問題を抱える唯一の連隊という訳ではなかった。国境上のアイリシアン槍機兵隊の弱体化は、ドラコ境界域に於ける全てのAFFSの作戦を表すものであり、それはドラコ連合に対する連続的な作戦の速度に少なからず帰するものである。それにも拘らず、槍機兵隊の全組織はカペラ境界域に配置換えされ、カペラ大連邦国に対して自由に振舞う機会を与えられた。連隊はアイリシアン槍機兵隊に対して(過去に)カペラ人達が行った事への報いを彼等に与えるべくあらゆる機会を活用したが、第4次継承権戦争後になるまでは“ニューシルティス”によって妨害をされた。そして、それ以後は、第9アイリシアン特戦隊は槍機兵隊のその他の部隊と共に精力的にサーダーPDZの防衛をし、時折、航宙艦が利用可能な際にはカペラ大連邦国内への攻撃を行っている。
今日、第9アイリシアン特戦隊は惑星“ヴェルロ”に配置されており、惑星“サーダー”を巡る犠牲の大きかった戦役に参加して以後は、そこにてこの部隊は再建と訓練を行っている。この部隊の塗装はその装備を強調する青であり、その徽章は地面に置かれて日没の方を指している1本の矢の上に置かれた2つの稲妻である。
ドラグーン・レーティング: 未評価
主要士官
現在、第9アイリシアン特戦隊を指揮して19年目に入っているケネス・コッペル大佐は自らの鋭利さを失い始めている。惑星“サーダー”での戦闘後、彼は自発的に部隊内で副次的な位置に身を置き、自分の代理に日々の作業を処理する事を許しているのである。槍機兵隊内の他の如何なる現役の士官達よりも10年ほど多く年を取っている事により、彼は“軍生活”を辞めて余生を楽しむ事を何よりも望んでいるのであった。
第9アイリシアン特戦隊の代理指揮官であるジェームズ・フォード中佐は、第6世代、もしくは第10世代の槍機兵隊隊員である――これは、彼の父方の血統と母方の血統のどちらを見るかで左右されるものである。アレクサンドラ・スチュワードとテリー・フォードの3男である彼は、組織内でより高い地位に昇る為の明白な血統を持っている――彼の父親は“アイリシアン・オーダー”の“Master at Arms”であり、彼の母方の祖母は14年間に渡って組織を指揮しているのである。
戦術
この連隊は、現在は比較的重量のあるメック部隊を配備しているが、技術の進歩は連隊のバトルメック群に大いなる速度と機動力を与えている。そのメック戦士達はそれを大いなる効果で以って使用し、自分達の部隊の愛称に恥じない行動をする事を可能としている。
第9アイリシアン特戦隊 |
第13装甲機兵連隊 |
第21アイリシアン特戦隊――“ドロップ・アンド・ストップ”
アイリシアン槍機兵隊が創設された26世紀、第21アイリシアン特戦隊は空中機動/特殊部隊の1個連隊であると見なされていた。この部隊はその全部隊用に十分なユニオン級とレパード級降下船を与えられ、それには2個小隊のLAMも含まれており、危険性の高い戦闘降下用に広範な訓練をされていた。この連隊は編成されて以後の5年間で非常に良好な成果を挙げた為に、そのメック戦士達は選抜されたSLDFのCAAN師団(注:水の豊富な惑星での戦闘用に編成されたSLDFの海兵師団。バトルメック、戦車、ホーバークラフト、戦闘機、水上戦闘艦で構成されている)とジャンプ歩兵師団と共に活動をし、星間連盟のメック戦士達に同様の戦術を実行する為のものを教えた。
かつてはLAMとジャンプ能力を持つメックを装備していたのであるが、継承権戦争はこの連隊からその能力の幾らかを奪い取った――最後のLAMは3018年に運用中止になり、また、部隊自体も各大隊にジャンプ能力を持っていない1個中隊を含んで編成せざるを得なかったのである。そして、これらの事実は、この部隊のメック戦士達に、自分達が過去に引き受けていたのと同種の作戦任務を果すのを可能とする新たな技術を開発する事を強いたのであった。
そのユニークな技能により、第21アイリシアン特戦隊は槍機兵隊の他の如何なる連隊よりも、非常に困難な作戦任務と非常に激しい戦闘の矢面に立っている。実際、第21アイリシアン槍機兵隊によって先導された作戦任務こそが、カペラ大連邦国からの槍機兵隊の離脱を引き起しているのである。オットー・リャオ首相は、惑星“アスンシオン”の強襲にアイリシアン槍機兵隊を派遣した。第21アイリシアン槍機兵隊は惑星上に降下し、槍機兵隊の残りの部隊の進出とカロン・インダストリー社の製造施設の支配権を奪取する事を容易にした。その後に、カペラの援軍が進出してくる予定であった。しかしながら、それらの部隊がカペラ領域から出発をする事は決してなく、槍機兵隊は惑星“アスンシオン”に支援なしかつ無傷で撤退する機会もない状態で放置された。そして、自由世界同盟の援軍がその後間もなく到着した時に、彼等が抱いていた希望は崩壊したのである。槍機兵隊は、最終的には惑星“アスンシオン”からの退去を交渉で取り決めたが、それは高い代償を支払ってようやくの事であった。
アイリシアン槍機兵隊はそれから約2世紀経過して尚も恒星連邦に雇用されており、カペラ大連邦国とその首相に対する憎悪を確固として抱き続けている。同様に、第21アイリシアン特戦隊もそのオリジナルの作戦任務指定を委ねられ続けている――彼等は、文字通り敵の武装陣地の真っ只中自分達が降下するというその危険性の高い任務指定を受け入れる事を続けているのであった。部隊は惑星“サーダー”での戦闘によって取分け酷い打撃を受けているが、その打撃の大部分は再建されており、その先達が有していた技能のレベルを新人達の前で見せつける程である。
第21アイリシアン特戦隊の徽章は、1つの惑星を半分に切り裂く稲妻である。
ドラグーン・レーティング: 未評価
主要士官
エインズリー・ジブラー大佐は、ロイ・バーナード大佐が槍機兵隊のS−2/情報士官へとなった後、最近になり第21アイリシアン特戦隊の指揮を執っている。ジブラー大佐は“アイリシアン・オーダー”の第3世代のメンバーであり、また、彼の従弟の1人はAFFSにて高級士官として務めている。彼はその経歴を第4アイリシアン特戦隊の下士官メック戦士として開始したのであるが、3040年代の交換プログラムに参加し、槍機兵隊へと戻る前に彼は第3ケチ戦闘部隊とダヴィオン軽近衛隊内で5年間を務めたと思われる。ダヴィオン軽近衛隊に加入する前、彼はアルビオン軍士官学校にてOCSに合格しており、この事は中尉の階級で戻る事を彼に可能とさせた。そして、その後、彼は素早く昇進して行き、自身の“家”を第21アイリシアン槍機兵隊内に見つけ出すまでは槍機兵隊の各連隊で軍務に就いている。
戦術
第21アイリシアン特戦隊は空中機動作戦と危険性の高い戦闘突入を得意としており、他の大部分の者達が全く考慮をしない機動をいつも実行している。
第21アイリシアン特戦隊 |
第25装甲機兵連隊 |