アイリシアン槍機兵隊
(ILLICIAN LANCERS)


 中心領域に於いて、最も規模が大きく、最も長い年月を生き延びてきており、最も成功を収めている傭兵部隊の1つであるアイリシアン槍機兵隊――その起源は“アイリシアン・オーダー”と星間連盟の日々にまで遡る事ができる――は、近年に於いては多大な苦難を被っている。遙か昔からの傭兵部隊であるアイリシアン槍機兵隊の能力には惑星強襲で大きな損害を被ってもその後の数年間をその自らが被った傷を癒す事に費やせる余裕があったが、“聖戦”の展開速度と頻発するその多数の副次的な戦争はそれらの部隊にとって特に辛いものであったのである。
 ジョージ・ハセク公爵の“ソヴリン・ジャスティス作戦”の中核部隊の1つとして、アイリシアン槍機兵隊の4個連隊の全ては攻勢に投入され、第9アイリシアン特戦隊はサンシール装甲機兵隊と戦い、その第1波である惑星“センダラー”攻撃の先鋒を成功裏に務め、一方、それ以外の連隊は第2波の多くの部分を構成した。第2波も第1波と同様に大いなる成功を収め、第59打撃連隊は惑星“チンタオ”を限定的な抵抗を受けたのみで奪取し、また、第4アイリシアン特戦隊と第21アイリシアン特戦隊の両連隊も4個連隊の傭兵攻撃部隊の一部として惑星“ゲイ・フ”を襲い、第3カペラ防衛軍を粉砕した。惑星“センダラー”に於いては、第9アイリシアン特戦隊はその征服行動を完了し、全体で10%の損害を被ったのみで次の攻勢への準備に入った。
 “ソヴリン・ジャスティス作戦”の第3波は、ダヴィオンの侵略軍に対してのカペラの抵抗が激化した為に、アイリシアン槍機兵隊により多くの戦闘を経験させる事となった。ヴォン擲弾隊は第59打撃連隊から惑星“チンタオ”を奪還するべく動き、第59打撃連隊は彼等が橋頭堡を作り上げるのを阻止する事ができなかった。ブラッドリー将軍は可能な限り長く惑星を保持する事を試みたが、彼女への支援と補給線が突然に途絶えた時に、その消耗戦は程無く両部隊の戦力を半分にまで減少させ、傭兵達に惑星“レッドフィールド”への撤退を強いた。惑星“イマルダ”に於いては、第21アイリシアン特戦隊はより遥かに多くの成功を享受し、その惑星を初期に僅かな抵抗を受けたのみで奪取し、一方、第9アイリシアン特戦隊は惑星“ホームステッド”を攻撃し、第4アイリシアン特戦隊は惑星“ヘクサール”攻撃の為に分離した。
 惑星“ヘクサール”に於いては、レンシールド竜機兵隊の到着により第4アイリシアン特戦隊は手酷い打撃を被り、彼等は最初は強固に持ち堪えたが、遂にはカペラの優勢な航空支援を前にしてその膝を屈さざるを得なかった。防御的な戦略に転換した第4アイリシアン特戦隊は、レンシールド竜機兵隊との苦闘を継続した――カペラ軍が第4アイリシアン特戦隊の指揮中隊に対して激しい攻撃を見舞うまでは。ここで指揮の崩壊に死に物狂いとなった“ローハイド(生皮)”フランシス少佐は、自分の大隊の全てをレンシールド竜機兵隊に突撃させて、3069年の新年直前の惑星“ウルヴァン”への第4アイリシアン特戦隊の残余の撤退を援護した。惑星“ホームステッド”に於いては、カペラの2個連隊が第9アイリシアン特戦隊に対する反攻に移った時に事態は血腥いものとなった。それと同時期、第21アイリシアン特戦隊は惑星“イマルダ”にて第5カペラ後備機兵隊とデス・コマンドの分遣隊という連合部隊と向かい合っていた。ゲリラ戦術を使用した第21アイリシアン特戦隊は、補給物資が払底して惑星“センダー”、遂には惑星“イカスト”への撤退を彼等に強要する事になるまでは、カペラ人達から逃れる事を為し遂げ、時折は反撃もした。

ドラグーン・レーティング: 未評価

第59打撃連隊
 カペラ大連邦国=恒星連邦間の戦闘の総停止以来、ブラッドリー将軍は戦闘状態にある国境の強化を試みてアイリシアン槍機兵隊を集結させる事に苦心している。彼女の指揮連隊は損害を受けているが未だに作戦可能な状態にあるのであるが、噂では、ブラッドリーが間もなく惑星“レッドフィールド”にある自らの基地から離れてニール・グリム大佐の手に他のアイリシアンの連隊関連のより多くの役割を委ねるのではないか、というものが示唆されている。

第4アイリシアン特戦隊
 カペラ人達の反攻により非常に手酷く叩かれているのであるが、第4アイリシアン特戦隊は有力な防衛部隊/予備部隊であり続けている。惑星“ヘクサール”での戦闘による傷跡が残されているフランシス少佐は戦場にて捕虜を取らない戦術を好んでおり、敵が完全に降伏するまで敵を叩き続けるものである。自分の部隊を前線の自機のアーチャーから指揮する姿が一般に見掛けられるフランシス少佐は、粘り強さを自分の部隊に徐々に浸透させているが、複雑な戦略命令を発するのにしばしば困難を覚えている。

第9アイリシアン特戦隊
 現在、アイリシアン槍機兵隊の全部隊中で最も破滅的な損害を被っている第9アイリシアン特戦隊は、2個中隊に満たないメックしか配備できないでいる。ヤルダ大尉(伝えられる所によれば、彼は3071年に退役する準備に入っている)が第9アイリシアン特戦隊の暫定指揮官の任を務めており、彼の(非常に創造性が欠如しているとはいえ)確固としている指導力はその部下達を絶えず励ましている。この“パパ”ヤルダとブラッドリー将軍の間で交わされている会話にて第9アイリシアン特戦隊をアイリシアン槍機兵隊の他の連隊の1つと合併する事が議論されてはいるが、今の所は何の行動も起されてはいない。

第21アイリシアン特戦隊
 第21アイリシアン特戦隊は物質的には最小の損害しか負っていないが、その指揮スタッフの交替――サントス中佐がアイリシアン槍機兵隊の本拠地防衛の指揮を執る為に去り、一方、ジブラー大佐が“個人的な理由”により退役している――はこの部隊を揺さぶっている。この連隊の新指揮官であるジョン・リーヴズ大佐は未だに粗野で非常に攻撃的な質であり、それは今の所は部隊にとって良好に働いているが、将来にあるであろう如何なる攻勢も第21アイリシアン特戦隊とその気質の両方に大きく依存したものになると思われるものである事から、その指揮官はそれ程時間を置く事なく試練を迎える事になるであろう。


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