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オゴードン・ライフルズ (O'GORDON'S RIFLES) |
3007年、クリタ家は恒星連邦との国境沿いに中程度の強襲を仕掛け、それはダヴィオンの幾つかの惑星――“クロッシング”、“シレーネII”、“ガラティアIII”、“ハロウズ・サン”、“マラ”を含む――を捉えていた。タカシ・クリタ大統領のその近年のDCMS大改革により精力に満ちていたドラコ連合軍は一新された獰猛さで以て戦い、自分達の価値を証明するというその活動の中で防衛者達を素早く圧倒する事を望んでいた。そして、惑星“クロッシング”に於いては、惑星の防衛の全てはオゴードン・ライフルズの肩に掛かったのであった。しかし、30年もの途切れる事のなかった勝利の歴史を持つ傭兵メック連隊であったオゴードン・ライフルズは、独り善がりな自己満足的な状態に陥っていっており、脅威度がが徐々に低下していた戦場――惑星奪取が襲撃に事実上取って代られていた場所――で年月を経た事によりそれは更に悪化していたのである。従って、“竜”の猛攻撃という多大な衝撃に対してこの傭兵部隊は全く備えのできていない状態であり、彼等は僅か1ヶ月間の戦闘で壊滅する事となった。その短気な指揮官であったジェイムズ・オゴードンと共に生き残って惑星“クロッシング”から撤退をしたのは、オゴードン・ライフルズの2個小隊のみであった。
オブザーバーの多くはこの惨憺たる敗北によりオゴードン・ライフルズの命運は尽きたとの判断を下した――オゴードン大佐と彼の“バトルマスター・ナンバーワン”がその翌年に惑星“ソラリス”に姿を現し、ウォードッグ・メック協同組合の資金的支援を得るまでは。短気であるのと全く同じ位に熟練の腕前を持っていたオゴードンは、一連の一か八かの試合を通してソラリス・チャンピオンシップの順位を上げていく事を為し遂げ、それによる収益から彼はオゴードン・ライフルズを再建するという自らの究極の夢を現実へとしたのである。オゴードンは多くの場合に於いて傲慢な人物である――彼の壊滅した部隊伝来のものであった――と理解されているのであるが、彼がグランド・チャンピオンシップを保持していた4年間(3009〜3012年)の全てを通して彼のウォードッグ協同組合への忠誠心は伝説的なものであった事を証明している。
3012年のその最後となった勝利の時に、オゴードンは大隊規模部隊としてオゴードン・ライフルズが再建された事を発表した。オリジナルのオゴードン・ライフルズの生き残りとウォードッグ協同組合の大多数を組み込んだそのオゴードン・ライフルズは戦場へ戻り、自由世界同盟とライラ共和国の国境沿いで一連の任務を成功させた後、数年という短期間で連隊規模戦力へ成長した。
氏族侵攻の際には、オゴードン・ライフルズの指揮権はジェームズの孫息子であるジュールズ・オゴードンの手に収まっていた。彼等は惑星“クロッシング”以前の日々に享受していたのと同等の連続的な勝利を決して達成する事はできなかったが、それでも彼等は再建以降は全ての大王家に目覚ましい働きで以て仕えた。3052年のツカイード休戦協定の直後には、オゴードン・ライフルズはコムスターの探査局との長期契約を受け、その氏族本国の探索に参加した。しかし、悲劇的な事に、3054年にかような派遣部隊の1つに同行していた最中、その航宙艦がある星系――現在はコムスターの地図上で“ケンブリッジ”という名で識別されている星系――に存在していたジェイドファルコン艦隊基地の只中にジャンプしてしまった際に、オゴードン・ライフルズの指揮大隊は失われたのであった。ジェイドファルコンの戦闘艦群に彼等の探査航宙艦とそれにドッキングしていた降下船の両方が消滅させられるまでの間に、彼等は不完全な通信を送信する事には成功していたが、探査局が通信を分析して追跡派遣部隊を送るまでオゴードン・ライフルズの残りの部隊は自分達の指揮官が辿った運命を1年以上に渡り知る事がなかった。
この途方もない損失は、惑星“エンガディン”に残って再編をしていたオゴードン・ライフルズを茫然とさせた。ここでオゴードン・ライフルズの第2大隊(“ザ・ウォードッグズ”)の指揮官であったスヴェトラーナ・ウィンザー大佐は指揮権を継承し、探査局との契約延長を決めたが、オゴードン・ライフルズの任務を派遣部隊の護衛から基地の防衛に変えるように交渉を纏めた。しかし不幸な事に、その結果として、3058年にジェイドファルコン氏族が惑星“コベントリー”に向かっての大攻勢を開始した際に、オゴードン・ライフルズは惑星“エンガディン”に尚も存在する羽目になってしまったのであった。そのジェイドファルコンの強襲はオゴードン・ライフルズの不意を衝いたが、この傭兵部隊は探査局のスタッフが基地から撤退するのを守るのに十分な時間持ち堪える事を為し遂げた。
オゴードン・ライフルズは手酷い打撃を受けたが探査局との契約を続け、惑星“ハリファックス”上にある探査局のライラでの第2の基地という新たな任地に着任し、そこにて自分達の契約の残りを勤め上げた。3062年、連邦=共和国内戦勃発の僅か数ヶ月前に、オゴードン・ライフルズは惑星“アウトリーチ”の雇用ホールに戻った。その内戦に関与しない事を決めた彼等はそれの代りに、3063年に惑星“パラダイス”の自由世界同盟企業のカーチス・ミリテック社と警備契約を結んだ。“聖戦”が始まった時には尚もその地に存在していたオゴードン・ライフルズの契約はジェレミー・ブレット大将に受け継がれ、3068年10月にワード・オブ・ブレイクが惑星“アトレウス”を攻撃した時には、彼は彼等をライラ同盟に対する攻撃用に配置していた。その時以降、伝えられる所によれば、この傭兵部隊はアリス・ルース=マーリック女公のレジスタンスに加わっているとの事であり、また、幾つかの情報源は、今年の初期に惑星“スチュアート”のブレイク教徒の資産を攻撃した部隊の中にオゴードン・ライフルズのメック群が存在した、としている。
ドラグーン・レーティング: B
オゴードン・ライフルズ
最後の信頼できる報告によれば、オゴードン・ライフルズは2個半大隊のバトルメックを集めており、それらの3/4は探査局やカーチス・ミリテック社との契約のお蔭である程度の先進技術を装備しているとの事である。機動力と近距離打撃力を優先しているそれらの機体の大部分は中量級の設計機であり、それに支援ユニットとして少数の重量級が加わっている。