リード・ブリュー
(REED'S BREW)


 氏族侵攻後に連邦=共和国の元・兵士達から創設されたリード・ブリューは、その形成期の大半の月日をコンパス座連邦との契約下で過ごした。この小国家内にてそのビールのユニークなブランドを完成させたリード・ブリューは、3066年にマリア帝国が侵攻してくるまでは深刻な軍事的脅威に直面する事は全くなかった。戦闘の最中にリード・ブリューとその飲料企業の指導者かつ創設者であるバーリー・リードを失った事により、それらの両方の経営権はバーリーの弟のルーカス“ハーリ”リードの手に移った。そして、彼は惑星“ガラテア”にて両方の家業の再出発をする事を決断した。コンパス座の醸造所を自分の元・妻(彼女はプロンマニアのゲームにてそれを勝ち取ったものと思われる)に委譲し、ルーカスは自分の部隊をより良い将来性の見込める場所へと率いていった。
 しかし、運はリード・ブリューに向かなかった。惑星“ガラテア”でのリード・ビール醸造の建設・広告・販売により巨額の負債を負ったルーカスは、リード・ブリューを今までの様に高く付く企業警備隊として維持するよりも完全な傭兵業に復帰させる方を選ぶという苦しい決断を下した。3068年に“聖戦”が勃発したが故に、リードは、自分が大勢力と利益の大きい契約を結ぶ事ができて借金状態からすぐにも脱出できるであろう、と想像した。しかし、戦闘経験の不足とMRBCのデータベースから数ヶ月間除去されていた事はリード・ブリューの公式のレーティングを低下させており、彼等を雇用可能な傭兵部隊の中で底辺近くに位置させていた。従って、リード・ブリューは自らがワード・オブ・ブレイクによる接触を受けるのを経験する事となった。ルーカスとその幕僚達は金銭を欲して止まなかったものの、他に気前の良い雇用主が存在しなかったにも拘わらず、ワード・オブ・ブレイクの為に働くのは避けた――MRBCがワード・オブ・ブレイクとの契約を禁じていたのがその特に大きな理由である。そして、ルーカスは、怖気の度合いが増しつつあるかの雇用主の下で数年間の仕事をするか、リード・ブリューをこれを最後に解散するかの難しい決断を迫られたのであった。
 3068年にアスカイ氏がこの傭兵部隊に話を持ち掛けた時、ようやく運命は彼等に憐れみを示したかの様に見えた。“信頼できるマイナーな雇用主”を提示したアスカイは、リード・ブリューに利益の大きい長期契約――2年を経ずに部隊を借金状態から抜け出させるであろう契約――を持ち掛けたのである。更に重要な事に、アスカイは、かの雇用主がその後はリード・ビール醸造と提携をするであろうし、それは彼等を自由世界同盟に散らばっている幾つかの流通業者や小売業者と結び付けるであろう、とも請け負った。
 リードはこの持ち掛けへ即座に承諾をし、1ヶ月を経ずしてリード・ブリューは辺境共和国とアンドゥリエン州の一連の惑星、カノープス統一政体と自由世界同盟との国境沿いの幾つかの独立惑星への襲撃で以てその雇用生活を開始する事となった。これらの任務をスムーズに行う為に、リード・ブリューは企業リース下で1隻の小さな航宙艦を受け取った。そして、2隻の降下船と下請け契約を結んだ後、リード・ブリューは3069年2月に惑星“ファーディフォール”上のコンタード採鉱場を襲撃する事で以てその18ヶ月間の長期作戦を開始した。惑星市民軍とのみしか交戦をせずに数tの鉱石を持って逃走したこの傭兵達は、その自分達の型破りな戦術の成功を祝いつつ徹底的に守備隊を叩いていった――惑星“トヘレット”を襲うまでは。
 未だに正体不明である部隊によって待ち伏せ攻撃されたリード・ブリューは、自分達の目標の直前で苦境に陥った。その正体不明の守備隊――アスカイの諜報概要には明らかに掲載されていなかった――は、自信過剰の傭兵達を驚愕させる獰猛さで以てリード・ブリューを攻撃したのである。ここでルーカスは自分の部下達を励まし、自分のリード・ブリューが単なる“パーティー会場の警備隊”以上の存在である事を自分の雇用主、敵手、他の傭兵世界に見せようと思ったのであるが、重大な損害を被った事によりリード・ブリューは撤退を強いられる事となった。
 この敗北後、リードは理解をした――自分の部隊には向上が必要である、さもなくば自分達はこの契約の最後まで生き残る事ができないであろう、と。彼は自らの秘密貯金に手を付けて2人の元・自由世界同盟軍士官を雇用し、自部隊に戦術と規律を仕込む事の手助けをさせた。これの効果はてきめんであった。リード・ブリューは、続く数度の襲撃に於いては僅かな損害しか受けなかったのである。3070年の終盤、その契約を完了した頃には、リード・ブリューは鍛え上げられた部隊へとなっており、20回以上の襲撃を実施して1200t以上もの戦利品を持ち逃げしていた。
 カペラ大連邦国内での2ヶ月間の一時休暇後、リード・ブリューは再度アスカイによる接触を受けており、伝えられる所によれば、彼は恒星連邦=ドラコ連合国境沿いでの新契約の為にこの傭兵達を再度雇用したとの話である。リード・ブリューは現在、惑星“ブリード”近くのどこかの会合場所へ行く途中であり、この移動時間を利用してリードの新醸造所――惑星“ルーンガナ”に既に建設中の醸造所と同様なもの――の為の将来の用地の計画を立てている。

ドラグーン・レーティング:

リード・ブリュー
 その大隊の半分以上がアップグレードされた技術(その大部分は自由世界同盟の設計品)を使用している事により、リード・ブリューは非常にチームワークの利点について重視するようになっている。栄光を得る為に突出をする個人は決して許されず、もし、そうした場合、ルーカスは自らその戦士の乗機を取り上げてより適格な戦士にそれを割り当てるのである。
 チャーリー中隊の偵察部隊は、古典的な“パーティーのヒット曲”を改修型ECM母機の電波として使用をして程々の成功を収めている事により名声を得ている。しかし、それがリード・ブリューに垢抜けている感覚を与えている一方で、それは同時にこの部隊がその“パーティー会場の警備隊”というステレオタイプを払拭するのをより困難なものへとしているのであった。

リード荒くれ隊
 リード・ビール醸造社の各醸造所に駐留している公称の警備部隊であるリード荒くれ隊は、通常は現地の法執行に携わっている部局から新人を雇用している。この事はリード荒くれ隊の総数を維持するのに寄与しているが、それらの新人達は大抵は戦闘経験が不足しているものである。


BACK