ソレンソン・セイバーズ
(Sorenson's Sabres)


所属: ドラコ連合、第5光の剣連隊、タールウォーター大隊
部隊指揮官: ダニエル・ソレンソン大尉
部隊規模: 1個メック中隊
部隊練度: エリート

歴史:
 ソレンソン・セイバーズは、3021年、4月に編成された。これより以前は、この中隊はエイブラハム・シルヴェリーン大尉に指揮されており、シルヴェリーン・スタリオンズとして知られていた。しかし、3021年、2月、シルヴェリーンは任務中に死亡し、部隊はダニエル・ソレンソン中尉(こうなる前は、その中隊の火力小隊指揮官かつ先任中尉であった)に任されたのである。
 その当時、一時的な食糧不足により発生した暴動を鎮圧する為に、中隊は惑星政府の要請を受けて惑星“ウォーレル”に駐留していた。行政上の手落ちにより作り出されたこの状況は厄介なものであり、時を経るごとに次第に悪化していたのである。中隊の指揮小隊はこの即座に要請に応じた。そして、シルヴェリーンは自分のドラゴンを暴動の主要部から数百メートル離れた場所に駐機すると自ら降り立ったのであった。
 現地駐留部隊の最先任将校であったが故に、シルヴェリーンはこの惑星に於いて非常に有名かつ非常に恐れられていた人物であった。如何なる出来事に於いても、彼は自分のメックに搭乗して踏み込む代りに群集の中に徒歩で分け入る事の方を選んでいた。思うに、彼は群集を解散させる自らのカリスマと強力な影響力を信頼しすぎていたのであろう。しかし、不幸な事に、彼は暴動参加者達の怒りを過小評価していた。後に目撃者が回想した所によると、シルヴェリーンはその激しい対話の中ですぐに厳しい警告から激しい恫喝かつ嘲弄へと対応を変えたとの事である。そして、その状況下に於ける彼の地位を忘却してしまった飢えた市民達に取り囲まれた彼は後に下がろうとしたのであるが失敗し、自分のメックに辿り着く前に袋叩きにされて死亡したのであった。
 その後に続いて、短いが致死的な一斉射撃が為された――小隊の他の3機のメックが大部分が非武装でかつ概ね無力であった市民達の上に砲火を開いて浴びせたのである。これで数百人の市民達が死傷したのであるが、メック戦士が更に犠牲となる事はなかった。
 コンティ将軍もまた、自ら迅速な行動を起して処罰を行った。数日も経たない内に、事件に関係した死亡した大尉の小隊員3名は軍法会議に掛けられ、有罪判決を受け、処刑されたのである。非武装の市民達を撃った、というのがその罪状という訳ではなかった――その事は適切な行動であると認められていた。しかし、自分達の指揮官の馬鹿げた死を防ぐのに失敗した、という事がその罪状となったのであった。その後、ソレンソン中尉が臨時指揮官として指揮を継承し、それから2ヵ月後に彼は昇進し公式の辞令を受けた。そして、この時に、部隊は改称をしたのである。
 3021年初期、恒星連邦が惑星“ゲイルダンV”を含むクリタの複数の惑星への大規模な襲撃を試みる可能性がある、との情報が漏れ伝わってきた。この脅威に対処する為に、多くの中隊の航空小隊に付属されていた気圏戦闘機が引き抜かれ、それらの惑星での防空任務に再配置された。そして、この予想された攻撃が行われる事は全くなかったのであるが、ソレンソン・セイバーズのものも含むこれらの気圏戦闘機の多くはその新たな任地に留め置かれ続けたのである。この埋め合わせをする為に部隊の編成には相当の変更が加えられ、ドラコ連合のどの中隊よりも異端である中隊が作り上げられたのであった。
 補充要員を受け取り2ヶ月間の全体訓練を行った後、ソレンソン・セイバーズはシュタイナーとの国境に送り込まれた。3021年、6月の到着と共に、部隊はライラ共和国の惑星“モーニングサイド”、“ファティマ”、“フォート・ラウドン”に対して大規模な襲撃を開始した。素早い襲撃をした後に移動をする中隊は強固に防衛されている目標を無視し、代りに重要度は劣るが困難でない目標を襲う方を好んだ。非武装の民間施設は、抵抗の意気を挫く為に、特に好まれた選択対象であった。激しい市街戦――特に後者2つの惑星での市街戦では、精密掃射任務でのLAM(ランド・エアメック)と戦闘機の組合せの価値が証明された。
 その顕著な例の1つが、惑星“ファティマ”の都市ヌエボリスボンでのものである。ソレンソンの卓越した戦術は、数的に優勢だが未熟であったシュタイナーの大隊に攻撃軍が1個連隊規模であると信じ込ませた。実際、ソレンソンの中隊は煙幕と迅速な航空襲撃、対電子戦を使用し、完全編成の1個連隊の印象を与えたのである。防衛側は都市の自治区の幾つかから後退し、その周囲のより有効である地形に移動する為にそこを無防備で放置した。そして、この事は都市部を第5光の剣連隊が好む行動――占領、略奪、大規模破壊に対して、遮るもののない状態にしてしまったのであった。
 シュタイナー領域への中隊全軍での一撃離脱襲撃を1ダース以上もの回数――その内の1つにはかなり奥地にある惑星“パンドラ”に対してのものも含まれていた――実施した後には、ソロンソン・セイバーズはその物資とエネルギーを極度に消耗していた。それらの攻撃の多くは奇襲要素により、数的に優勢な相手と戦闘をする場合でさえも成功裏に終っていた。彼等は貴重な補給物資の大貯蔵所、更には穀物や食料品の貯蔵所をも破壊した。それを(偵察兵やその他の支援要員を少数失いはしたが)メック戦士の犠牲なしに行えた事は、ソレンソンにとって何よりの喜びであった。しかし、それでも部隊は急速に弱体化しつつあり、3022年、1月には駐留任務と再装備の期間を過ごす為にゲイルダン軍管区へ再配置された。
 3022年の1月から8月に掛けて、ソレンソン・セイバーズは恐らく軍管区内で最も陰鬱な場所である孤立している惑星“バッド・ニュース”にて駐留任務についた。他の状況でならば、ソレンソンはかような任務に激怒したであろう。しかし、その当時に於いては、平穏と静寂こそが部隊が正に必要としていたものであったのである。
 3022年、9月、部隊は首都である“ルシエン”に移動させられ、3023年の4月まで通常の光の剣連隊の一部として駐留任務を果す事となった。そして、3023年の3月に発生した小規模の騒乱の1つを鎮圧した事を除いては、この任務の期間中はこれといった事件もなかった。
 3023年の5月から3024年の1月にかけて、(ソレンソン・セイバーズを含む)タールウォーター大隊は(ドラコ連合内の準自治領である)ラサルハグ公国の惑星“ニューカレドニア”に分遣された。この惑星は最近になり蛮王の水泥棒襲撃の関連で大損害を被っており、それ故に、ソレンソン・セイバーズを用いて駐留部隊を増強する、とのコンティ将軍の提案は認められたのである。そして、全ての者がこれは短期間の危険な任務と長期間の退屈な任務が合わさったものになる事を予期していたが、自分達の最初の行動が包囲された防衛部隊を救出するというものになる事を誰も悟ってはいなかったのであった。
 蛮王の1人――これが誰であったかは様々な意見がある――は、(疑いもなく彼が持つ軍勢の中でも相当の割合の部隊である)完全編成のバトルメック1個大隊を、防御側のラサルハグの部隊を一掃して自分達の巨大な改装型タンカー船を一杯にした後に離脱するという目的の為に送り込んだ。その最初の目的は果される寸前であった――第5光の剣連隊のタールウォーター大隊が到着した時には、残存防衛部隊(その大部分が歩兵部隊)は都市リードウィッヒ近郊で孤立させられていたのである。また、この援軍は遠い側からアプローチを行い、惑星のほぼ反対側へ着陸していた。
 惑星を横断して救援部隊を輸送するという性急な努力を行った後、ソレンソン・セイバーズは自分達が良く統制の取れている軽量級バトルメック部隊と対峙している事に気付いた。襲撃側には速力に於ける優位があり、ソレンソン・セイバーズ側には重量に於ける優位があった為に、両陣営は全力で戦闘をする事になった。しかし、幸運な事に、ソレンソン・セイバーズの戦闘機とLAMは敵手の優越している機動力を打消すのに役立ったのである。そして、最早自分達の基地を防衛する必要がなくなった事により、包囲されていた歩兵部隊は突破を為し、一連の血腥い諸兵科連合での小戦闘にて蛮軍は撤退をしたのであった。
 その他2回の攻撃を成功裏に撃退した後、3024年の1月、全大隊はゲイルダン軍管区に呼び戻された。そして。この時、彼等の駐留任務は惑星“ゲイルダンV”へとなった。
 ソレンソン・セイバーズは、3024年の9月まではゲイルダン軍管区での駐留任務に留まった。しかし、3024年の9月、惑星“ニューサマルカンド”のサン・ツアンメック戦士士官学校の相当の先任士官達に対して匿名の脅迫が行われた。そして、その惑星上でのISF本部の存在にも拘らず、高官達はソレンソン・セイバーズを呼び寄せる事によって警備の強化をしたのであった。中隊の2つの小隊は惑星の駐留部隊に任じられ、一方、1ヶ月ごとのローテーションで選ばれる3つ目の小隊は士官学校の手元に置かれた。
 ソレンソンは自分の上官達に対して何も口には出さなかったが、この任務は彼を苦々しい気持にさせた――彼は、この士官学校を嫌っていたのである。しかし、それでも尚、部隊は3024年の10月から3025年の7月に掛けて野外演習中の教官達を警護した。この脅迫が無意味なものである事が明白になった時には、中隊は長引く防御的行動と閲兵場での行動に調子を落し始めていた。ソレンソンは部隊の練度と戦闘に有効な体勢を維持する為にも、攻勢を再開させる必要があった。そして、3025年、8月、彼はその機会を得た。
 その近年、ドラコ連合は恒星連邦からの増大する圧力に晒されていた。ダヴィオン家はその共通の国境沿いに追加の部隊を配置し、全面的な侵攻が行われると見えていた。そして、クリタ家の部隊の中で最高かつ最も信頼の置ける部隊の1つである第5光の剣連隊は、この脅威に対処する為に選抜されたのである。第5光の剣連隊は、ダヴィオンの何らかの大規模攻撃が開始される前に部隊独自の数回の攻撃を行う事を命じられた。
 コンティ将軍は、自分の連隊はその戦闘能力を保持するのに必要とする如何なる補給物資や装備も受領できるであろう、と告げた。そして、幾つかの点に於いてこれは空約束であったが、それでも第5光の剣連隊はその攻撃を維持するのに必要な補給物資の大部分を受け取る事となったのである。しかし、それと引き換えに、部隊は可能な限り長く攻勢作戦を維持する事とされたのであった。
 3025年の8月から3026年の10月に掛けての15ヶ月の期間中、第5光の剣連隊はダヴィオン家の惑星“オザワ”、“クイン”、“タウン”、“グレンモラ”、“クエンティン”、“ウディビ”、“エルライ”に対して攻撃を行った。それらの(多種の成功を収めた)戦闘は、砂漠、極寒の平原、密林、都市部、山岳、更には沼地の縁といった多様な地勢にて行われた。そして、この全ての場合に於いて、ソレンソン・セイバーズとして知られている異端の部隊は戦闘の最前線に立っていたのである。

戦術/編成:
 ソレンソン・セイバーズの編成は、大部分のバトルメック中隊、更には第5光の剣連隊の他の中隊とも明らかに非常に異なっている。この部隊は余り一般的でない型のメックを数機運用しており、その上、偵察小隊も2機の気圏戦闘機が配備された航空小隊も持ってはいないのである。
 中隊は代りに、その小隊の1つにランド・エアメックを直接組み込み、また、第2小隊では1機のメックが1機の気圏戦闘機と置き換えられている。この事は部隊の総合的な定数を(14機ではなく)12機に減少させており、その小隊群を些か“軽い”ものへとしてしまっている。しかしながら、それは同時に小隊群の柔軟性を増加させており、中隊用の固有の航空支援(即ち、直接保有している航空支援)を確保させてもいるのである。3026年、10月現在、ソレンソン・セイバーズに名目上でのみ配備されている気圏戦闘機群は、惑星“ゲイルダンV”の軍管区司令部を守備している現地の防衛部隊に付属されたままである。彼等を再配置したり他の戦闘機群と置き換えるという計画は、現時点では示されていない。
 この中隊は、他の点に於いても普通ではない。ソレンソン・セイバーズの内の8名はサン・ツァン士官学校を卒業しておらず、それは光の剣連隊の中隊での割合に於いては異例の事なのである。更に異例な事に、ダニエル・ソレンソン大尉は小規模だが有能であるラサルハグ軍士官学校(大部分のクリタ士官達に敵のプロパガンダ施設であると見なされている学校)の卒業生であり、この事は彼を光の剣連隊全体の中でもユニークな存在へしている。しかしながら、連隊内で働いているISFの情報提供者から入手したこの異例の士官に関する報告書は、非常に疑問の余地のあるその背景にも拘らず、彼の申し分のない振舞いを知らせてきているのであった。
 コンティ将軍は、ソレンソン・セイバーズが(政治に触れるものでなく)戦術的な実験の産物である事を認めている。この理由により、中隊はその精力の大部分を新たな戦術を開発する事に捧げており、戦闘機やLAMを可能な限り活用する戦闘状況を作り出している。その隊員達は特に市街戦に対して有能であると思われ、火力支援や観測任務を果させる為にLAMか気圏戦闘機のどちらかを使用している。現時点では、彼等の独特の戦法は非常な成功を収めている――ダヴィオン、シュタイナー、蛮王部隊の生き残りのメック戦士達の多くは、第5光の剣連隊のソレンソン・セイバーズと対峙した際の忌わしい記憶を沈鬱に思い起こしているのである。
 


ソレンソン・セイバーズ部隊編成

指揮小隊
  ダニエル・ソレンソン大尉(操縦4、砲術3)、MAD-3R マローダー
  シュイテル“ガッツ”グトウスキー(操縦6、砲術4)、WHM-6R ウォーハンマー
  エルデン“ザ・シャーク”ベラルディネーリ(操縦0、砲術5)、SL-25 サムライ
  アイゾラ“イジー”セーデルストロム(軍曹)(操縦5、砲術0)、PHX-1K フェニックスホーク

中小隊
  セドリック・スヴェインソン中尉(操縦1、砲術0)、LGB-0W ロングボウ
  エモリー・ウィルク(操縦5、砲術1)、RFL-3N ライフルマン
  シャロン・ビュルゴ(操縦5、砲術2)、TBT-7K トレビュシェット
  アルバート“ガンナー”ベントン(操縦1、砲術0)、STG-3R スティンガー

追撃小隊
  デーナ・ウツノミヤ中尉(操縦5、砲術3)、ARC-2K アーチャー
  クレイ・モレッティ(操縦1、砲術1)、PHX-HK2 フェニックスホークLAM
  エレアノール・ルバック(操縦4、砲術2)、HER-4K ヘルメスIII(オストマン製)
  ヴァーノン・マローネ(操縦3、砲術5)、WSP-1K ワスプ


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